1942年ナチスドイツ占領下のチェコスロバキアで起きた実話をわずか一年後にハリウッドで映画化したフリッツ・ラングの名作。

上映時間は、アメリカでは120分版が1943年に公開されていたが、日本では1987年になって134分版が劇場初公開された。
 
主演はブライアン・ドンレヴィアンナ・リー。プロデューサーはアーノルド・プレスバーガー、監督はフリッツ・ラング、共同脚本は「三文オペラ」を書いたベルナルト・ブレヒトとフリッツ・ラング。

 

あらすじ

 
ナチスドイツ・チェコスロバキア占領軍の総督ハイドリヒが暗殺された。暗殺犯をゲシュタポが追うが、プラハの人々の愛国心のお陰で逃げられる。ゲシュタポは、証言者が偽証しているとにらみ、ノヴォトニ教授の娘マーシャを追い詰める。そのため教授ら百人以上が逮捕され、毎日三人ずつ処刑されていく。さらにチェコ人チャカをスパイとして地下組織に潜入させて、情報を得る。
暗殺犯に心当たりがあったマーシャは病院に行くと、外科医師ズヴォボダが犯人だった。彼女は父のために自首してくれと願うが、組織が自首させてくれない。
ある日、組織が集会を開いている場所をチャカの手引きでゲシュタポが襲撃する。リーダーのデディッチは逃げて、ズヴォボダに助けられる。ゲシュタポがズヴォボダ宅に踏み込むと、裸のマーシャがいた。ところがマーシャはデディッチを隠すための囮であった。ゲシュタポに連行されたマーシャは総督暗殺の実行犯がチャカだと話す。
一方、グリューバーはズヴォボダのトリックを見破り、ついに逮捕に訪れるが、同僚医師の機転により殺されてしまう。ゲシュタポから疑われたチャカは、グリューバーと電話で話していたというアリバイを主張するが、チャカ宅からグリューバーの死体が発見され万事休す。
ベルリンは現在捕まえている人質を全員処刑した後、総督暗殺事件の犯人をチャカとして事件の幕を引く。

 

雑感

 
暗殺されたハイドリヒの本当の役職はチェコスロバキア副総督。
どこまで事実に近いのかは全く知らない。と言うか、事実だったらプラハは困るだろう。
ただ観ていてラング監督「M」と似た感じの気分になった。要するにプラハ人民全てから憎まれたチャカに対して同情してしまったのだ。何か気分の悪くなる作品だ。
実際はドイツと貿易をしていた人も多いから、そんな制裁はあり得なかった。その代わり、戦後ドイツに協力した人は良くても村八分にあっただろう。

 

 

 

スタッフ・キャスト

 
監督 フリッツ・ラング
製作総指揮 アーノルド・プレスバーガー
原案 ベルトルト・ブレヒト 、 フリッツ・ラング
脚本 ベルトルト・ブレヒト 、 フリッツ・ラング 、 ジョン・ウェクスリー
撮影 ジェームズ・ウォン・ホウ
音楽 ハンス・アイスラー
 
配役
スヴォボダ ブライアン・ドンレヴィ
ノヴォトニ教授 ウォルター・ブレナン
娘のマーシャ アンナ・リー
チャカ   ジーン・ロックハート
ヤン    デニス・オキーフ
グルーバー警部 アレクサンダー・グラナッハ
 

死刑執行人もまた死す (完全版)Hangman also Die! 1943 UA作品 日本配給ケイブルホーグ

投稿ナビゲーション