赤木圭一郎主演の「拳銃無頼帖」シリーズ第一作。
監督は野口博志、共演は浅丘ルリ子、宍戸錠、草薙幸二郎、西村晃、沢本忠雄

あらすじ

竜二は抜き射ちの竜と呼ばれて、相手の利き腕の肩を射抜く男として怖れられている。竜二は麻薬の禁断症状が出たため、病院へかつぎこまれていたが、無事全快して退院できた。竜二はコルトの銀に導かれ楊という中国系の男と会った。楊が入院費を全額出してくれたため、竜二は借りを返す間だけ楊の用心棒になった。
楊は麻薬を密輸して、営業は堀田に託していたが、最近警察の捜査の手が回り、最後の大仕事を済ませて日本から引き揚げようとしていた。
圭吉は竜二の弟分でボクサーだったが八百長をしてプロ・ボクシングから追放され、今では麻薬の禁断症状に苦しんでいた。竜二は、楊の元愛人だった真木房枝の部屋で彼を見つけて、自分が入院していた病院に入れる。
竜二は堀田組の馬場に呼ばれる。西田佐智子が歌うステージの見えるボックス席に堀田はいた。堀田は楊の取引情報を流してくれたら金を払おうと言う。竜二は盗聴されていることを知り、それを断る。堀田の隣にいたホステスは見覚えがあった。みどりという同じアパートに住む女だ。みどりの部屋に忍び込んでいると、彼女は帰ってくる。竜二は証拠を見せて問い詰めるが、みどりには何のことかわからない。それどころか「自分に後ろめたいところがあるから、人まで疑わしく見えるのよ」と言う。心当たりがあるために、ぐうの音も出ない。
ある夜、竜二は楊の子分であるチャンの用心棒をした帰りに、警官に車で追われるが車内からは何も出てこなかった。楊は警察の内通者がいないか探るためにわざと怪しい動きをしたのだ。今日の取引情報を知らされていたのは房枝、トランペットの石井ら数人しかいない。
みどりは房枝の店に出入りするモデルだった。竜二は彼女を怪しんだが、彼女は犯人ではなかった。竜二は金を渡して済ませようとしたが、一日付き合ってと言われる。彼女は竜次にもらったお金をすべて孤児院の子どもたちのプレゼントに使う。それをきっかけにして竜二とみどりは打ち解ける。しかし彼女の死んだ恋人も兄も麻薬取締官だった。
楊は仕事から外した堀が警察に垂れ込んだと考え、竜二に暗殺を命じる。しかし楊は竜二を信用しておらず、代わりに銀が射殺した。さらにみどりまで捕えようとしたが、通りがかった竜二はみどりを恋人だと言い、口付けする。みどりは彼に夢中になってしまう。しかし裏切り者はみどりの兄でトランペットの石井であり、実は潜入麻薬取締官だったのだ。石井は竜二を連れて飲みにいく。そこで次の取引場所を聞きたがったが、竜二は何も答えなかった。

さらに子分に命じて、病院を襲い、院長が犠牲になって圭吉だけでも逃す。しかし房枝は捕らえられてリンチに掛けられるが口を割らない。圭吉が血まみれになって竜二の部屋に逃げ込んで来た。竜二はみどりに警察に連絡するように言って、自分は爆薬を運ぶトラックに乗り込んで取引現場に突っ込む。
トラックは楊一味が乗っとるがよう一味、運転に失敗して大爆発を起こして楊一味のほとんどは死んだ。残るは銀だけだ。最後の決闘は竜二が肩を射抜いて銀の敗北となった。すると楊がしぶとく生きていて銃撃を仕掛けて来た。そこに石井が現れるが、その瞬間銀は素手で立ち上がり、楊の射撃の的になった。竜二は姿を現した楊の肩を正確に射抜き、石井が楊に手錠をかけた。石井に連れられ警察署に向かう竜二に、みどりが近づいて、そっと囁く、「待っています、あなたがお帰りになるまで」と。

雑感

赤木圭一郎はデビューして2年間シリーズを持ってなかった。59年秋からクランクインしたこの作品が当たったので、60年に後3本「拳銃無頼帖」シリーズを作った。
今回の相手は浅丘ルリ子、アンチヒーローは宍戸錠。宍戸錠の悪役ぶりが決まってる。さらに藤村有弘がのちにギャグで多用する中国人ネタは、まだ笑いのために使われていない。
また翌年には新しいシリーズが考えられていただろうが、彼のカート事故による急死のため、実現することはなかった。

個人的には西田佐知子(当時は西田佐智子)が歌うシーンを見られただけで幸せである。下膨れ気味にぽちゃっといて、あどけなさが見える。アテレコの歌が振り付けと合っていない。その振付も硬い。元々演歌歌手だったので、洋楽のフリを知らないのだ。
3年後の映画「アカシアの雨がやむとき」もヒロイン浅丘ルリ子だったが、主演は高橋秀樹だった。

スタッフ

企画 浅田健三
原作 城戸礼
脚色 山崎巌
監督 野口博志
撮影 永塚一栄
音楽 山本直純
主題歌 黒い霧の街 赤木圭一郎
挿入歌 一対一のブルース 西田佐智子

キャスト

剣崎竜二 赤木圭一郎
コルトの銀  宍戸錠
石井みどり  浅丘ルリ子
洋装品店主真木房江  香月美奈子
三島圭吉 沢本忠雄
トランペッター石井五郎 草薙幸二郎
志津 菅井一郎
楊三元 西村晃
張  藤村有弘
堀重三郎 二本柳寛
両刃の源 高品格
馬場  天草四郎
医師 菅井一郎

拳銃無頼帖 抜き射ちの竜 1960 日活製作・配給

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