菅野美穂が「エコエコアザラク」等のホラー映画に出まくっていた。これもその一つ。当時はホラーに彼女ばかりで食傷気味だった。
漫画家伊藤潤二のデビュー連作を及川中が映画化した。主演は「ファザーファッカー」の中村麻美、共演は富江役の菅野美穂、刑事役の田口トモロウ、精神科医の洞口依子、レストラン店主の温水洋一

 

あらすじ

 
月子は交通事故にあって以来、過去の記憶がない。不眠症のため精神科医細野のクリニックに通っている。睡眠療法を施すと、富江という名前を口走る。原田刑事が細野を訪ね、月子について聞き出す。そこで細野は、月子が富江という同級生が消えた事件に関係していることを聞かされる。一方、月子のいるアパートに引っ越してきた山本という男が女性を殺した罪で逮捕される。実は山本は富江に言われて殺したのだ。富江は死んだ女性の代わりにレストランのアルバイトに入る。そこには月子の恋人祐一が働いていたが、富江は彼を狙っていた。富江が入って以来、レストランのオーナーや従業員は彼女に夢中になり、最後には殺し合いを始める。また月子は富江の部屋から不思議な物音が聞こえてくるので、入り込むと友人の佳織が殺されていて家主が月子を襲う。
気が付くと、月子は富江に縛られて身動きできなかった。富江は月子との関係を語る。月子の高校の友人で、恋人を取られたので、全校に中傷ビラを巻き、最後は教師に殺されるところを見てショックで記憶を失ったのだ。そのとき祐一が富江の首を切って殺し、そのまま何処かへ消える。月子は富江の遺体を持って山中に捨てに行く。ところが富江は再生していた。そして富江は月子にキスする。月子は富江に火を付けて燃やすが、いつの間にか富江と同じ泣き黒子が出来ていた。

 

 

雑感

 
男を虜にしては殺されてしまう富江だが、彼女は何度でも再生する。二つに割ったら二人の富江が生まれる。
この伊藤潤二が作り出したホラーヒロイン富江を劇場版第一作であえて脇役にして予算を安く抑えるのは、良いアイデアだったが、内容が軽すぎた。
事情を知っていた女医があっさり殺されてしまったり、意味不明な点も多い。おそらく製作側の横槍によるカットのせいだろう。でも監督に任せてたら、映画館では上映されなかったろう。

 

 

スタッフ・キャスト

 
監督・脚色 及川中
原作 伊藤潤二
撮影 鈴木一博
特殊メイク ピエール須田
 
配役
泉沢月子 中村麻美
川上富江 菅野美穂
医師細野    洞口依子
原田刑事    田口トモロヲ
斉賀祐一    草野康太
謎の浪人生山本 水橋研二
レストラン店長 温水洋一
大谷 鈴木一功

 

富江 1999 大映製作・配給

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