アラン・ドロンがアイドル時代の快作。フランソワーズ・アルヌールのクレジットが最初だが、中身は父と息子の物語でドロンとその父親を演ずるブールヴィル(人気コメディアン)の共同主演作と言って良い。第二次世界大戦の混乱の中での父子の問題を扱っている。
監督は「アイドルを探せ」などアイドル映画の名手ミシェル・ポワロン、脚本は「禁じられた遊び」のピエール・ポストとジャン・オーランジェ。音楽はポール・ミスラキ

あらすじ

1943年ドイツ占領下のパリ、夫を捕虜に取られて体を持てあますイヴェットに学生のアントワーヌは夢中だ。子持ちのイヴェットは上手を言って、アントワーヌに貢がせることしか考えていない。
両親にブルゴーニュへ旅行に行くと騙し、アントワーヌは友人ポールの父チェスランに紹介してもらい、リュリュと組んでシャンパンの密輸を行う。
ところがパリ市内にいるところを妹に見つかってしまう。
父はチェスランに相談するが、チェスランは酌婦オルガに命じて父を籠絡させる。
やがて父はチェスランのレストランでアントワーヌは見つかってしまうが、オルガが現れて、父の面目丸つぶれである。
その夜、パリ市内は空襲を受けアントワーヌ一家は防空壕に入る。そこで父子はお互い落ち着いて語り合うことが出来た。全ては戦争のせいだった。
やがて爆撃は本格化して、消防団が応援を求めてきた。二人は男らしい顔をして防空壕から出て行く。

 

 

雑感

最初は誰が主役かよく分からなかったが、一通り見終わった時には父と息子が救援隊に志願するラストに深く感動した。

演技としては、最初の内は時間がなかったのかアラン・ドロンもコメディアンのブーランジェもあまり上手でない。その辺がドロンのアイドル時代と言われるのだろう。

でも時間が経つにつれ、次第に調子が上がったようだ。回りにベテランがいて、しごかれたんだろう。ブーランジェも小津監督の笠智衆ポジションを上手く演じるようになった。

全体として父性に支えられた青春映画だと思う。意外に日本人の男性向き映画かも知れない。
フランソワーズ・アルヌールは、結局ファム・ファタルになり損ねた感じ。
ブリジット・バルドー時代になって、セックス・シンボルとしての座を奪われ、この映画でクレジット順は上だが脇役に甘んじていた。この頃から、次第にテレビドラマに進出する。

 

スタッフ・キャスト

監督   ミシェル・ボワロン
製作   ラルフ・ボーム
原作   マルセル・エーメ
脚色   ピエール・ボスト 、 ジャン・オーランシュ
撮影   クリスチャン・マトラ
音楽   ポール・ミスラキ

配役
イヴェット     フランソワーズ・アルヌール
アントワーヌ   アラン・ドロン
ミショー(アントワーヌの父)     アンドレ・ブールビル
チェスラン     リノ・ヴァンチュラ
ポル       ジャン・クロード・ブリアリ
リュリュ       ピエール・モンディ
ミショー夫人   ポーレット・デュボー
フローラ    マドレーヌ・ルボウ
オルガ      サンドラ・ミーロ

学生たちの道 Le Chemin des Ecoliers 1959 フランス製作 映配 国内配給

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