江波杏子が主演する「女賭博師」シリーズ第一弾。
現代的な容姿の美女でいながら、親の敵を討つ、手本引き胴師(胴元)を描く。
監督は田中重雄、共演は渡辺文雄、川津祐介

あらすじ

親分衆を集めた手本引きの花会で、名人沢井辰造が胴師をつとめた。しかしただいま売り出し中の香取組代貸である立花鉄次に沢井は塚田と組んだイカサマを見破られ、拳銃自殺に追い込まれる。辰造の娘アキは胴師として既に有名だったが、堅気である恋人守屋のため、二度と札は手にしないと決意した。
立花は組の親分となり、見る見るうちに勢力を広げる。彼は親の敵であるアキを胴師にならないかと誘ったが、すっぱり断られた。一方、アキの弟広志は立花組に出入りしていた。
アキは守屋の部屋に一人でいるところを立花に襲われる。そのおかげで守屋とアキの関係に溝が入る。辰造の子分だった政吉は塚田を捕まえ、アキの前に連れて行く。塚田は立花の指図で沢井を陥れるためにやったと告白する。
立花組の連中は塚田を捕まえ、広志に殺させようとするが、塚田が全てを白状したことを知り、二人揃って轢き殺そうとする。塚田は即死し、広志は骨折で病院に担ぎ込まれた。これでアキの覚悟は決まった。
侠勇会組長法要の花会で、アキが胴師をつとめることになった。実は父辰造の仇を討とうとしていた。アキは政吉を相手に手本引きの稽古を何度もしていた。
鎌倉花会の席上、親分衆の前で真剣勝負が進む。兼松組の組長の取り分が次第に増えていった。辰造とそっくりなアキの指の動きに立花が気付く。その瞬間、「待った」と立花が声を掛ける。札は改められたが、イカサマはなかった。アキは立花に“父と同じように責任をとって頂きましょう”と言い放つ。隣の部屋で立花は拳銃自殺する。

 

雑感

手本引きとは、一から六の札の内、胴師が選んだ札を当てるギャンブル。サイコロと同じなのだが、人間が絡むと、駆け引きが発生し、一度嵌まると辞められなくなる。

ラストは最初、守屋が迎えに来るはずだったが、公開版では一人でアキが山門を下りて帰っていく。要するに続編を作るので、ラストを改変したのだ。

先頃亡くなった江波杏子の出世作。一本だけでも強烈なイメージを残す作品だが、大映が倒産したときには全十七作のシリーズ作品になっていた。

1965年以降に始まった若手女優のシリーズ作品としては、最初のもので一番長く続いた。後続の「緋牡丹お竜」同様の仇討ち劇だが、時代背景が現代である点が親しみやすく飽きも来ない。さらに言えば江波杏子の役柄は安田道代や梶芽衣子にできても藤純子にはできない。

スタッフ

企画 伊藤武郎
原案 青山光二
脚本 直居欽哉 、 服部佳
監督 田中重雄
撮影 小林節雄
音楽 池野成

キャスト

沢井アキ  江波杏子
父辰造  水原浩一
弟広志  酒井修
子分政吉  川津祐介
立花鉄次  渡辺文雄
恋人守屋  南廣
親分兼松  見明凡太朗
妻かね  角梨枝子
塚田  夏木章
立花の子分権藤  藤山浩二
板前留吉  三夏伸
おとよ 桜京美
刑事  北原義郎

女の賭場 1966.11 大映東京製作 大映配給

投稿ナビゲーション