世界パニック系映画の初期傑作。
エドウィン・パルマーとフィリップ・ワイリーが1933年に書いた原作をSF映画「月世界征服」のジョージ・パルが製作した。
主演はリチャード・デアバーバラ・ラッシュ。テクニカラー作品。
Synopsis:
南アフリカのブロンソン博士は新星べラスと惑星ザラスが地球に近づいてくることが発見する。確実に8ヶ月後には衝突して地球は崩壊する。郵便飛行士デイブがそのデータをニューヨークのヘンドロン博士と美しい娘のジョイスに手渡す。
博士らの理論を初めのうち他の科学者は疑っていたが、ヘンドロン博士は地球から脱出するために国連に頼らずザラスへの移住計画を各方面に説き、大金持ちのスタントン氏は自分が生き残るために協力を申し出た。
まず惑星ザラスが実際に地球に最接近して、引力のせいで海面が上昇して主要都市が水没する。数十日後には新星べラスが近付いて地球は壊滅する。
整備に遅れが出て、べラスの影響が地球上に出始めた。ロケットの整備が終了した後、移住者を選ぶ抽選に漏れた作業員が銃を持って反乱を起こす。他の乗組員が乗り込んだことを地上から確認したヘンドロン博士はスタントン氏を道連れに反乱者たちの壁となって、ロケットを出発させる。
ロケットはジェットコースター型の滑走路を飛び立ち、大気圏を飛び出してザラスヘ向かう。燃料はほとんど尽きていたが、ザラスへ自然落下で突入して、雪の平原を見つけて胴体着陸に成功する。まだ外に出る名の声を無視してコパイロットのデイブは飛び出す。そこは(雪だったはずだが) 空気の豊富な緑の草原だった。
この作品からインスパイヤを受けた映画は非常に多い。例えば1962年の東宝作品「妖星ゴラス」1998年のドリームワークス制作「ディープ・インパクト」タッチストーン制作、配給の「アルマゲドン」などである。
残念ながらそのどれもが、オリジナル映画の域に達していない。科学考証の甘さはあっても、人類の大部分を切り捨てた「地球最後の日」が最も素晴らしいパニック映画だ。
ロマンスもこの映画には描かれている。トニー・ドレイク医師とジョイスは 元々付き合っていたのだが、そこへデイブが現れたことでジョイスの気持ちが大いに傾いてしまう。
しかしこのままでは一介の飛行士でしかないデイブは抽選無しで移住できるための優先枠に入る資格はない。そこでジョイスの気持ちを考え、トニーはコパイロットにデイブを推薦する。
実際、デイブはザラスへの大気圏突入と胴体着陸において素晴らしい功績を見せるが、代わりの飛行士は他の科学者でもよかったのではないか。
他にも情実移住がまかり通っていることについて、平等性の原則に反している気がして疑問が残るが、観客はこのほうがわかりやすかったのだろう。
とくに戦後間も無くだったし、生と死の差がわずかな場所を通って生き延びた人が多い時代だったから。
ヒロインのバーバラ・ラッシュはハリウッド映画でよく見た顔だ。なじみの女優が出ているだけでも映画に対して親近感が湧く。
パニックや宇宙船の特撮は素晴らしかったが、最後のザラスでの背景画(美術)はズッコケた。出来ればあれも特撮処理して欲しかった。

監督 ルドルフ・マテ
製作 ジョージ・パル
原作 エドウィン・バルマー 、 フィリップ・ワイリー
脚色 シドニー・ボーム
撮影 ジョン・サイツ 、 ハワード・グリーン
特殊効果 ゴードン・ジェニングス 、 ハリー・バーンダラー
特殊撮影 ファーシオット・エドワード
音楽 リース・スティーヴンス
出演
リチャード・デア デイブ・ランドール
バーバラ・ラッシュ ジョイス
ピーター・ハンソン 医師トニー
ジョン・ホイト スタントン氏
ラリー・キーティング ヘンドロン博士
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