初代「ゴジラ」上映前年に、アメリカで初めて、古代恐竜が核実験で目覚める映画が上映された。

アメリカお得意のストップモーションを使って撮影した恐竜はずいぶん呑気でショボく、ゴジラと違ってあまり怖くない。しかし愛嬌があってよろしい。

特撮はコマ送りアニメーションで有名になレイ・ハリーハウゼンが初めて担当した。

原作はレイ・ブラッドベリと言うことになっているが、実際は巨大獣が灯台によじ登ろうとするところだけが彼の発案だそうだ。レリー・ハリーハウゼンとブラッドベリは親友だったから、ハリーハウゼンがアイデアを頂戴したか?

 

あらすじ

北極圏内の米軍基地で水爆実験が行われた。現場にいた原子力委員会のネスピット教授(ポール・クリスチャン)は同僚と巨大な恐竜を見た途端、大雪崩に遭遇した。ただ一人生き残ったネスピットは、古生物学のエルソン教授(セシル・ケラウェイ)を訪れるが、恐竜を見たという話を信用してもらえなかった。しかしリー助手(ポーラ・レイモンド)だけは信じて、該当する恐竜を探した。それは1億年前に滅亡したリドサウルスだった。

その頃、カナダ東岸からアメリカ東海岸にかけて連続して海難事故が起きるが、海竜によるものではないかと報道される。そしてネスピットは事故の生存者を証人にしてエルスン教授を前にしてリドサウルスの存在を証明する。早速、沿岸警備隊に連絡して海竜が発見された海域で何か起きていないか尋ねると、燈台が破壊される事件が起きていた。そこでエルスン教授は自ら潜水艇に乗り込み海底を探査するが、恐竜に襲われ命を落とす。

恐竜はマンハッタンに上陸し、人々は恐怖のどん底に落とした。州軍が大砲を撃つと、恐竜は胸から出血するが、その血から放射能が検出され、そのために兵士はバタバタと倒れる。最後は夜の遊園地に恐竜を誘い込み、スナイパーにジェットコースターの頂上まで登らせて、有毒な放射性同位体を打ち込ませ、ついに倒すことが出来た。

 

雑感

この通り、かなりゴジラは「原子怪獣現わる」をパクっている。もっとも映画としては、恐竜の実在可能性が明らかになるまで上映時間の半分以上の時間を使い、エルスン教授の海底探査では水槽で撮影したサメとタコの格闘シーンを延々と流したりと退屈な時間が長かった。だから、映画としては日本の方がはるかに出来は良い。
しかし、あくまでオリジナルは尊重しなければならない。レイ・ブラッドベリもハリーハウゼンも苦い顔をしていたに違いない。

映画として唯一の見せ場は、海底探査シーンで恐竜を発見した後のエルスン教授の子供のような微笑みである。教授としては子供の頃から憧れてきた恐竜に初めて会えたのだから、嬉しくてずっと見ていたかったのだろう。でも横にいて様子を見ていた操縦士はどうして逃げなかったのか。一緒になって、はしゃいでいたのだろうか。

昔、アメリカ版映画「Godzilla」を見たときから思ったのだが、アメリカ映画の恐竜は日本のゴジラと比べると体高が低い。恐竜がいくら大きいといえども、体高は3階建てビルぐらいである。二足歩行をすれば6階建てぐらいにはなるのであるが、餌は下にあるから下を見ながら歩いていたはずなのだ。実は恐竜の体高についてだけは、アメリカはリアリズムを追求していたのだ。

スタッフ

監督 ユージン・ルーリー
製作 ジャック・ディーツ 、 ハル・チェスター
原作 レイ・ブラッドベリ
脚本 ルー・モーハイム 、 フレッド・フリーバーガー
撮影 ジャック・ラッセル
特殊効果 レイ・ハリーハウゼン

[amazonjs asin=”B01561XNO2″ locale=”JP” title=”原子怪獣現わる Blu-ray”]

配役

ネスビット教授(原子力委員会)  ポール・クリスチャン
エルソン教授(古代生物学)  セシル・ケラウェイ
リー助手  ポーラ・レイモンド
エバンス大佐  ケネス・トビー
ストーン伍長  リー・ヴァン・クリーフ (チョイ役)

 

 

原子怪獣現わる (The Beast from 20,000 Fathoms) 1953 米ワーナーブラザーズ – 初代ゴジラはアメリカ映画のパクリだった

投稿ナビゲーション