花登筐の原作を、舟橋和郎が共同で脚色し、島耕二が監督したラーメン・コメディ。
主演は東宝から客演のフランキー堺。ヒロインは宝塚出身の高毬子、共演は船越英二、渚まゆみ、清川玉枝、市村俊幸

 

 

あらすじ

 
横浜港に着いた貨物船で王さんという中国人にやってきた。二十八年前、大陸で暮らしていた王さんの母は、身ごもりながらも夫を戦争で失い途方に暮れていたが、山川伍長という日本人にお金を借りて、無事出産することが出来た。台湾に逃げた母は亡くなる際、恩返しをしてくれと王さんに遺言したのだ。
王さんは貨物船にただで乗せてもらって来日した。しかも着替えの中国服まで用意してもらった。早速早速長島巡査と知り合うが、山川という名前だけでは探しようがない。王さんはラーメン屋の「万来軒」に住み込み、根気よく山川さんを探すことにした。王さんのラーメンがおいしかったから人気者になる。そんな間に、お手伝いのユキと知り合う。似た境遇に心が通じ合うのだった。
山川組の親分が、王さんに金を渡したという。早速行って見るが、何故か麻雀勝負を挑まれる。王さんは二歳の時から麻雀を打っていて百戦百勝だ。するとクリーニング屋の六さんから電話が掛かってきてユキが攫われたという。急いで六さんのバイクで追うが、ヤクザ日森の事務所に逃げ込まれる。六さんに警察への連絡を任せて、王さんが単身踏み込むと手下共が服を剥がそうとする。実はこの服に麻薬が隠されていたのだ。しかもユキの父は日森の手下の一人だったが、あの恩人山川だった。山川は日森を裏切ったため、ユキともども命を狙われていた。王さんと山川父娘が追い詰められたところに、警察が雪崩を打って押し寄せて日森一味は御用となる。
帰国の日が近付いた王さんはユキにラーメンを作って上げる。ユキも王さんも胸が一杯だった。
 

 

 

雑感

 
日中親善とか銘打っているが、王さん一家は中国から台湾へ逃げた国民党の一派だった。だからここで言う中国とは、中華民国=台湾の話である。
何故、天下の島耕二監督以下そうそうたる面々を起用して東宝からフランキー堺を借りながら、東宝風「駅前ラーメン屋」的なあんまり面白くない作品を作ったのか不明だ。時代によるかも知れないが、1960年代後半にはフランキー堺の笑いも時代遅れになっていたのだろう。
フランキーさんは昔はもっと動けたと思うのだが、この映画当時は38才になり、アクションシーンで露骨な合成映像やスタントを使っている。
 
山川役の星ひかるは、戦前のスター。大映所属の湯浅憲明監督の実父でもある。
悪役はフランキー堺の友人でありピアニスト兼司会者兼俳優の市村俊幸、手下にはテレビドラマ「図々しい奴」の主演だった丸井太郞を起用している。丸井太郞は1967年に自殺する。
 

スタッフ・キャスト

 
監督 島耕二
原作 花登筐
脚色 舟橋和郎 、 花登筐
企画 藤井浩明
撮影 渡辺徹
 
王さん フランキー堺
長島巡査 船越英二
山川ユキ 高毬子
マヤ  渚まゆみ
日森  市村俊幸
蛭川  中村是好
山川洋介  星ひかる
ノブ  丸井太郎
サブ  人見きよし
ユリ  春川ますみ
大野咲子  若水ヤエ子

 

ラーメン大使 1967 大映東京製作 大映配給 フランキー堺主演

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