実験用チンパンジーの悪戯によってできた回春薬をめぐる騒動を描いている。
モンキー・ビジネス(monkey business)」は、英語で「いんちき」の意味である。

ハリー・シーガルの原作をベン・ヘクトらが脚本化して、巨匠ハワード・ホークスが監督した。

主演はケーリー・グラントジンジャー・ロジャース。共演はチャールズ・コバーン、マリリン・モンロー。白黒映画。

あらすじ

製薬会社(社長はオクスリー)で強壮剤を開発する主任研究員バーナビーは、最近新薬の研究開発で多忙である。妻のエドウィナは、最近夫とご無沙汰で欲求不満気味である。
実験用チンパンジーのエスターが檻から抜け出して、薬の調合を見様見真似で悪戯した上で、不味かった薬をウォーターサーバーの中に捨てる。
何も知らず、バーナビーがウォーターサーバーから水を飲むと、眼鏡が不要になり、20歳のような体力に戻る。そして新しいロードスターを買い、社長秘書ローレルとドライブやスケートをして楽しむ。

しかし時間が経つと、元に戻ってしまう。研究所に戻ったバーナビーが理由を考えていると、訪れたエドウィナがウォーターサーバーの水を大量に飲んでしまう。
若い頃に戻ってしまったエドウィナは、ハイテンションになり、バーナビーと新婚旅行に行ったホテルで一騒動を起こしてバーナビーを追い出し、電話で母にバーナビーへの不満をぶつける。しかし翌朝になると、元のエドウィナに戻っていた。

夫婦が家に戻ると、エドウィナの母親とかつての恋人ハンクがやって来た。前夜の電話で、エドウィナとバーナビーが離婚すると思い込んだのだ。
バーナビーとエドウィナは、きっと危険な薬を飲んだからだと思い込み、研究所にある実験資料を廃棄する。
ところがバーナビーは、ウォーターサーバーの水を使ってコーヒーを淹れて、あろうことか何杯も飲んでしまう・・・。

雑感

ハワード・ホークスが得意としたスクリューボール・コメディの典型である。
また、マリリン・モンローが「ナイアガラ」(1953年)の前年に出演し、喜劇に目覚めた作品である。案外、主役のケイリー・グラントジンジャー・ロジャーズは、猿の演技やマリリンの存在に影が薄くなっていた。

この映画の主題は、ドラッグの怖さである。コメディでありながら、医薬の実験を通して麻薬問題にメスを入れた。検閲で麻薬を取り上げるのがまだ難しかったので、こういう形をとったそうだ。
フランク・シナトラが麻薬映画「黄金の腕」に主演するのは3年後であり、このときもヘイズ・コードと揉めたそうだ。

スタッフ

監督   ハワード・ホークス
脚本   ベン・ヘクト、チャールズ・レデラー、I・A・L・ダイアモンド
原案   ハリー・シーガル
製作   ソル・C・シーゲル
音楽   リー・ハーライン
撮影   ミルトン・クラスナー

キャスト

バーナビー・フルトン博士  ケーリー・グラント
エドウィナ・フルトン  ジンジャー・ロジャース
オリヴァー・オクスレイ社長   チャールズ・コバーン
ロイス・ローレル  マリリン・モンロー
ハンク・エントウィッスル弁護士  ヒュー・マーロウ
ジェローム・キッツェル博士  アンリ・レトンダル
ゾルデック博士  ロバート・コーンスウェイト
G・J・カルヴァリー  ラリー・キーティング
ブルンナー博士  ダグラス・スペンサー
ラインランダー夫人  エスター・デイル
悪ガキ  ジョージ・ウィンスロウ

***

彼は、子供に戻ってしまい、近所の悪ガキを集めてインディアンごっこをする。ちょうど通りかかったハンクを縛り上げて、頭の皮を剥こうとする。跡を追ったエドウィナは、近所の赤ちゃんを見て、バーナビーが子供になってしまったと勘違いする。
さらに研究所では、社長や役員一同がバーナビーの新薬に効果がないと結論づける。そこでウォーターサーバーの水を使ってウィスキーを飲み交わすと、全員が子供に戻って水遊びを始める。

結局、ウォーターサーバーに仕掛けられた、チンパンジー・エスターの悪戯と分かる。そして新薬は完成するが、発見者はエスターとなる。しかし、バーナビーとエドウィナは、若い頃の情熱を取り戻したようだ。

モンキー・ビジネス Monkey Business (1952) 20世紀フォックス製作・配給 日本未公開

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