製作: ジョン・ベック
監督: ヘンリー・コスター (『オーケストラの少女』)
原作: メリイ・チェイス (ピューリッツアー文学賞)
脚本: メリイ・チェイス オスカー・ブロドニー
撮影: ウィリアム・ダニエルズ
音楽: フランク・スキナー

出演:

ジェームズ・スチュワート
ジョセフィン・ハル(アカデミー助演女優賞)
ペギー・ダウ
チャールズ・ドレイク
セシル・ケラウェイ
ヴィクトリア・ホーン

傑作映画である。特に脚本が素晴らしい。
サンセット大通り」が受賞したおかげでオスカーは逃したが、個人的には映画史に残る脚本だと思う。
非常にわかりやすい英語だった。

祖母の遺産でのんびりと暮らすエルウッド。
アル中の彼は、巨大空想ウサギのハーヴェイを連れ回っていた。
弟の奇怪な行動を恐れた姉のヴィータは、エルウッドを精神病院に入れる。
ところが病院の医師や看護婦はエルウッドの純真な人柄に夢中となり、老院長も巨大ウサギを見るようになってしまう。

 

うさぎのハーヴェイは、穴空き帽子を被って絵の中だけにしか現れない。
ファンタジーと考えることもできるのだが、実は酷いアルコール中毒の話である。
オチに関係するが、精神病院の○○もアル中だった。
アルコールが切れたら、禁断症状が出るし、アル中が進んで病状が悪くなることもある。
だから見終わって、楽しかった面白かったでは済まない。

でも人生への含蓄が深い作品だ。
ある人は、エルウッドは現実の人生が見えていない、でも理想的な人生が見えるのだといった。
アルコールを介してそう言うモノが見えるのなら、アル中も良いものかも知れない。

ユニヴァーサル映画は「ハーヴェイ」の舞台で主役を演じたジェイムズ・スチュワートに対して『ウィンチェスター銃’73』へ出演させるついでに『ハーヴェィ』も映画化すると約した。
ついでで作った「ハーヴェイ」だが、素晴らしい映画に仕上がっている。
J.スチュアートのおっとり味も生かされた。

 

細身で猫顔のペギー・ダウが好みのタイプだった。伊東美咲みたいだ。
しかし映画数本で寿引退したようだ。実に惜しい。

 

これは観るだけの値打ちがある。

ハーヴェイ 1950 ユニヴァーサル

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