先日「ブライトライツ」というデビー・レイノルズキャリー・フィッシャーの最後の日々を描いたドキュメンタリーを見て、泣けて仕方がなかった。そしてその中でも描かれていたコロンビア映画「ハリウッドにくちづけ」を思い出した。
ちょうど1990年の暮れぐらいから深夜の映画番組で宣伝をしていた映画があった。大女優デビー・レイノルズの娘キャリー・フィッシャーの自伝的小説を映画化したもので、内輪ネタ満載でメリル・ストリープとシャーリー・マクレーンが主演だと言う。共演はジーン・ハックマン、リチャード・ドレイファス、デニス・クエイド。さらに後から見直すとロブ・ライナーと無名時代のアネット・べニングまで出ている。
監督は「卒業」のマイク・ニコルズで、脚本はキャリー・フィッシャー本人、音楽はカーリー・サイモンって、母親のコネではなさそうだ。何故落ち目の女優が暴露本的小説を書いてここまでの映画になるのかと不思議に思った。

あらすじ

中堅女優スージーは映画撮影中にも関わらず麻薬中毒でリハビリ施設の強制入所させられる。大女優である母ドリスは甲斐甲斐しく世話を焼くが、いつまで経っても娘は半人前に見えて小言を言ってしまう。
映画会社が加入する保険会社が提示したスージーの女優復帰の条件は口喧しい母と同居することだった。
B級映画での復帰に成功したスージーだが、環境は劣悪でまさに0からの再スタートだった。そんな中でもプロデューサーのジャックはイケメンで、スージーは恋に落ちてしまう。ところがジャックを悪く言う話を聞き、真偽を確かめに娼婦役のイブリンに話を聴くと、ジャックとのデートの直前イブリンとデートしていたと言う。二股かと尋ねると、他にもいるわよ、コンドームさえしておけば大丈夫と言われる。
その夜は頭に来て、起きた時当日のアフレコのダビングをすっかり忘れていた。母親とまた喧嘩して、イライラしてスタジオに入ると、監督が優しい言葉を掛けてくれる。帰途、母が酔っ払い運転で事故っていた。病院へ行くと、担当医師はスージーが麻薬中毒で一命をとりとめた時の先生だった。彼もスージーを食事に誘ってくれる。急にモテ期が来たスージーは機嫌が良くなり、母の切望していた音楽PVを取ることになる。

雑感

映画としては暴露映画というより、すれ違った母娘が互いの事件をきっかけに寄り添って生きていくことを覚えたという内容。そう聞けばいい話だが、よくある内容でもある。
スターウォーズ人気は当時も根強かったから、レイア姫の自伝とあらばと、SWオタクが集まっていたが、デビー・レイノルズ世代もチラリホラリ。
自分は麻薬患者がそんな簡単に更生できるわけがないと思っていたから、眉唾をつけて見ていた。そこでキャリー・フィッシャーがかなり賢い人間であることを発見。キャリーを芸能界なぞよりも文才を伸ばすことを考えて教育を受けるべきだった。
デビーは映画の中と同様に自分が母離れできていないのに、自分が育てられたように娘を育てることに執心している。それが結果的にキャリーを破滅させたのだ。
実際、キャリーのコカイン癖は死ぬまで治らなかった。
それでもキャリーがデビーと一緒にいて本当に不幸だったのかどうかは、分からない。見た感じは良い距離感を保っているようだった。

スタッフ・キャスト

監督 マイク・ニコルズ
原作脚本 キャリー・フィッシャー
製作 ジョン・コーリー、マイク・ニコルズ
音楽 カーリー・サイモン
配役
スージー メリル・ストリープ
母ドリス シャーリー・マクレーン
ジャック デニス・クエイド
コルチェック監督 ジーン・ハックマン
医師 リチャード・ドレイファス
ピアース ロブ・ライナー
イヴリン アネット・ベニング
ハリウッドにくちづけ Postcards from the Edge 1990 コロンビア配給

投稿ナビゲーション