マイケル・パートウィージャック・デイヴィスの原作をメルヴィル・シェイヴェルソンが監督したロマンティック・コメディ。
原色系の美術はハル・ペレイラ ローランド・アンダーソンでアカデミー美術賞にノミネートされた。撮影はロバート・サーティース
出演はクラーク・ゲーブル、ソフィア・ローレン、共演は名匠ヴィットリオ・デ・シーカ。クラーク・ゲーブルの最後のカラー作品だ。

 

 

 

あらすじ

 
米国弁護士マイケルは兄の遺産整理のためにナポリを訪れる。兄は妻をアメリカに持ちながら、カプリ島に愛人と息子ナンドがいたが、嵐の夜愛人とボートに乗って遭難したのだそうだ。そう教えてくれたのは、愛人の妹ルチアである。ルチアはナイトクラブで歌って、兄の忘れ形見のために稼いでいた。しかし生活は荒んでいて、マイケルは訴訟を起こして忘れ形見をアメリカに連れ帰ろうとする。ナポリのヴィターレ弁護士は裁判だけが解決の道ではないと、ルチアとマイケルを付き合わせる。初めはいい雰囲気だったが、所詮はマイケルはフィラデルフィアに仕事がある人間だ。やがて二人は別れ、裁判ではルチアに親権が認められる。しかしルチアはナンドの未来を考えて身を引く。マイケルは一旦ナンドを引き取ってアメリカへ帰ろうとするが、ナンドの幸せを考えてナンドも自分もカプリ島に残るという選択をする。
 

雑感

 
クラーク・ゲーブルが遺作「荒馬と女」の直前にイタリアまで長期ロケをして撮った映画だが、体のキレが見られない。水泳シーンもスタントだろう。
ソフィア・ローレンを起用しながら、どこかで聞いたようなラブコメになってしまった。残念である。ベテラン俳優が彼女とヨーロッパで共演する映画はよく見たが、その中でもアラン・ラッドの「島の女」を思い出した。もちろんあっちの方が出来は良い。
ヴィットリオ・デシーカは映画を取らせると、ネオレアリスモや「終着駅」「ひまわり」のような作品を撮るが、出演者としてはコメディがお似合いである。
この映画はカプリ島の観光映画になっている。とくに「青の洞窟」は美しかったが、内部は暗くて誰が演じているのか見えなかった。

 

スタッフ・キャスト

 
監督 メルヴィル・シェイヴェルソン
製作 ジャック・ローズ
原作 マイケル・パートウィー 、 ジャック・デイヴィス
脚本 メルヴィル・シェイヴェルソン 、 ジャック・ローズ 、 スーゾ・チェッキ・ダミーコ
撮影 ロバート・サーティース
音楽 アレッサンドロ・チコニーニ 、 カルロ・サヴィーナ
美術 ハル・ペレイラ 、 ローランド・アンダーソン

 
配役
マイケル クラーク・ゲーブル
ルチア ソフィア・ローレン
ヴィターレ弁護士 ヴィットリオ・デ・シーカ
甥ナンド マリエット
レンツォ パオロ・カルリーニ

 

 

ナポリ湾 It Started in Naples 1960 ジャック・ローズ製作 パラマウント配給

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