ジョーン・クローフォードクラーク・ゲーブルが主演するバックステージ・ミュージカル
ジェームズ・ワーナー・ベラの原作小説をアレン・リヴキンP・J・ウルフソンが共同脚色し、ロバート・Z・レナードが監督を努めた。
共演はフランチョット・トーン、メイ・ロブソン、フレッド・アステア
日本のテレビでも人気者になった元祖どつき漫才トリオである「三ばか大将」も出演している。
白黒映画。

あらすじ

ジェニーはストリップ小屋で踊っていたが、警察に検挙されて投獄された。ジェニーに気がある青年富豪トッド・ニュートンは、彼女を保釈出獄してやった。トッドは交際を申し出るが、ジェニーはダンサーを目指していたので一度は断る。

トッドにダンスを馬鹿にされたジェニーは悔しくて、レビュー演出家パッチ・ギャラガーに会って次回の舞台にぜひ使ってくれと言って離れない。
それを見てトッドは、金の力でパッチを紹介すれば自分に靡くだろうと思う。パッチの舞台の仕事にありついたジェニーは、大喜びである。その踊る姿を見て、パッチもジェニーの実力に気付き大きな役を約束する。
なかなか靡かないジェニーを見て、トッドはジェニーと取引をする。舞台で成功すれば良し、もし失敗したらトッドと結婚するというものだ。

パッチはジェニーを主役ヴィヴィアン・ワーナーに代わって主演させることにした。いよいよ開演が迫り、トッドは急遽レビューの後援を中止した・・・。

雑感

バスビー・バークレーのミュージカル映画に似た俯瞰演出を一部に使っているが、振付はサミー・リーエディ・プリンツだ。
話の筋は、鬼演出家と主演に抜擢された新人ダンサーが結ばれるというごくありきたりなものだ。
それがありきたりでなく、90年近く経っても語り継がれているのは、フラッパー女優からMGMの大スターになったジョーン・クロフォードと若きクラーク・ゲーブルのゴールデン・コンビ共演第四作であり、そこにRKOと契約する以前のフレッド・アステアが映画初出演をしているからだ。

フレッド・アステアは、既に姉とブロードウェイで評判をとったダンサーだったが、姉が結婚引退したので映画界に進出しようと考えていた。そこでMGMに呼ばれて、この映画に本人役で初出演した。映画での初パートナーは、ブロードウェイでは芽が出なかったジョーン・クロフォードだった。
しかしアステアはMGMとは契約せず、弱小映画会社RKOに入社する。この判断は非常にクレバーだったと思う。アステアは小粋なデュエットのダンスが得意であり、豪華絢爛なMGMでは脇役に回されて目立たない。RKOでこそジンジャー・ロジャースという伸び盛りの素材と巡り合い、パートナーを育てることができたのだ。

ジョーン・クロフォードは、サイレント時代はフラッパー女優、トーキー初期は美人女優、戦争直後は性格女優、50年代以降は怪奇女優と年代別に姿形を変える。
この映画が公開される頃クロフォードは、ダグラス・フェアバンクス・ジュニアとの離婚を発表した直後で、傷心の身だった。姑に当たるメアリー・ピックフォード(グロリア・スワンソンと並ぶサイレント時代の大女優。後妻であり夫ダグラス・フェアバンクス・ジュニアと血縁はない)に田舎者であることを 苛められていたそうだ。
しかし一度は肉体関係にあり、死ぬまで友人関係にあったクラーク・ゲーブルとの共演で寂しさを紛らわせていたのだろう。
個人的には、クロフォードと言うと晩年の怪奇女優時代なのだが、29歳の頃のこの映画を見ると同世代のグレタ・ガルボを意識してメイクを工夫していたと思う。昔は美人だったのだと気づかされる。

スタッフ

製作総指揮 デビッド・O・セルズニック
監督 ロバート・Z・レオナード
原作 ジェームズ・ワーナー・ベラ
脚色 アレン・リヴキン、P・J・ウルフソン
振付 サミー・リー、エディ・プリンツ
撮影 オリヴァー・T・マーシュ

キャスト

ジェニー  ジョーン・クロフォード
パッチ・ギャラガー  クラーク・ゲーブル
テッド・ニュートン  フランチョット・トーン
テッドの祖母  メイ・ロブソン
友人ロゼット  ウィニー・ライトナー
フレッド・アステア  本人
三ばか大将(ストゥージズ)  モー・ハワード、ジェリー・ハワード、ラリー・ファイン
ウォード・キング  ロバート・ベンチリー
スティーヴ  テッド・ヒーリー
ヴィヴィアン・ワーナー  グローリア・フォーイ
アート  アート・ジャレット
プロデューサーのブラッドリー  グラント・ミッチェル
ブラッドリーのバカ息子  メイナード・ホームズ
ネルソン・エディ  ネルソン・エディ
脚本家  スターリング・ホロウェイ

 

ネタばれ

そのため開演不可能となり、ジェニーは約束通りにトッドと結婚することを承知した。
ジェニーがキューバに旅行したあとニューヨークに帰ってくると、パッチは舞台を自分だけの力で行おうとしていたが、主演女優と上手くいかず初日直前になっても荒れていた。
そこでジェニーはトッドが陰謀を巡らせたため、パッチが追い詰められたことを知った。彼女はトッドと別れ、フレッド・アステアと共にパッチの舞台に出演しダンサーとして成功を収めた。
そして彼女はパッチと愛し合うようになった。

 

 

ダンシング・レディ Dancing Lady 1933 デビッド・O・セルズニック製作 MGM配給

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