お金と愛情に拘る矢口史靖監督の長編第三弾「アドレナリンドライブ」。
主演の石田ひかりの好演が光る。石田を好きな人は見なさい。
悟はレンタカー屋のしがない店員。
いつも店長に馬鹿にされ、こんな仕事を辞めたいと思っている。
ある日、ヤクザの車にぶつけた悟(安藤政信)はヤクザの事務所に連れ込まれ脅される。
ところがそこで起きたガス爆発事故。
悟はヤクザの黒岩(松重豊)と一緒に病院に搬送されるが、途中で救急車まで事故を起こし、ヤクザの金を看護婦の静子(石田ひかり)と一緒に持ち逃げする。
静子もまた大人しい自分が嫌で、自分を変えたかったのだ。

ぱっとしない二人が大金を目前にして、人が変わったように行動的になってしまう。
そういう人間の妙なところを面白おかしく描いている。
全体としては爽やかな作品に仕上がっている。
ださい看護婦石田ひかりが着替えて変身する当たりに女の強さを感じた。
この子は肌は汚いが、小柄な躰からフェロモンだけは、画面からぶんぶん飛ばしてくる。
好きだなあ(笑)
実物は普通の子だろうけど。
婦長の角筈和枝がヤクザの松重豊に心を通わせ、「追込み」の手伝いをする辺りも、女の底力かな。
ドイツ人監督だったら、この題材をロードムービーにしてしまうところだが、
日本人監督じゃ、そうはならない。
主役二人の心情の変化と風景の変化を組み合わせるところまでは達していない。
ロードムービーは風景を見ながら気が変わり、状況も変わるものだ。
ところがこの映画の場合、お金を見る度に気が変わる(笑)
我々は定住型民族なんだな。

アドレナリンドライブ (1999,日本)

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