水木洋子のオリジナル脚本を、吉村公三郎が監督した早い台詞回しが特徴的なホームドラマ。さらに宮川一夫が撮影している。
主演は京マチ子、共演が若尾文子、野添ひとみ、北林谷栄、船越英二、高峰三枝子
市川崑監督の大映映画「鍵」(1959年作品)のパロディ作品ともいえる。

あらすじ

五人姉弟の長男卓夫は結婚式場と不動産賃貸業を経営している。姉の冴子は着物デザイナーでバツイチであり、マンションで一人暮らししている。他の弟妹は兄に生活を依存するため、実家から離れようとしない。妹波子は書道の先生、鳩子は売れない舞台女優、末弟の典二郎いたってはニートである。
卓夫は妻静との間に、まだ子供がない。離婚歴のある冴子は静の苦労を理解するが、他の兄弟から見ると何を考えているのか分らず何かと反発する。
ある日、静に匿名の手紙が来る。夫が隠し子がいるという。静を離婚させて、この家を我が物にしようとする波子と鳩子が出したものだった。
ところが、実際に夫は外に妾を二人も囲っていた。その内、民恵には子供がいた(実は別の旦那との子供だったが、卓夫には黙っていた)。

とうとう、弟の密告により妹二人の仕業だと分かり、卓夫は家族会議を招集する。物別れに終わるが、
その夜、卓夫が静の過失によりガス中毒となる。

幸い命は取り留めるが、いたたまれなくなった静は家出して友人玉枝の家に逃げ込む・・・。

三日三晩寝てスッキリした静の元に卓夫が迎えに来る。二人の小姑は卓夫の持っているアパートに行くことになった。静は、朗らかになり卓夫と海に散歩に出かける。その様子を独身の玉枝は、ポカンとして見守っていた。

雑感

以前谷崎潤一郎原作の大映映画「鍵」(1959年製作)を見た。そこでも京マチ子が嫁で北林谷栄が婆や役だった。そのときは、婆やの過失で一家が死んでしまう。
だからこの映画でも全員が死ぬのかと思ったが、水木洋子の脚本は全く違った。

この映画を見ていて、夫婦というものは得体の知れないものだと思った。
当時としては、喧嘩をして別居しても夫が妻の家出先に迎えに行くのは当たり前だった。すると、夫婦は丸く収まってしまうことが、不思議と良くあった。

夫の兄の冴子(高峰三枝子)の存在も静にとって頼りになったのだろう。冴子は、妹と嫁のどちらに肩入れするのでなく、公平にジャッジしていた。今回も夫の卓夫を妻の元にやったのは、冴子だろう。

しかし、女は30過ぎたら結婚の大バーゲンが始まったものだが、今や40歳で初婚は当たり前。妻の静が現代にいたら小姑二人付きの結婚を選んだかどうか。

ホームドラマだがのんびりムードではなく、速射砲のような台詞が非常に印象的。油断しているとリマスター前のフィルムでは若尾文子野添ひとみの台詞も聞き取れない。

スタッフ

監督  吉村公三郎
脚本  水木洋子
企画  久保寺生郎
製作  永田雅一
撮影  宮川一夫

キャスト

京マチ子  卓夫の妻静
若尾文子  唐沢波子
野添ひとみ  唐沢鳩子
船越英二  唐沢卓夫
弓恵子  典二郎の恋人蓮子
高峰三枝子  唐沢冴子

北林谷栄  婆や三
木裕子  雪川マリ
六本木真   唐沢典二郎
片山明彦  村田
藤間紫  民江
倉田マユミ  玉枝
清川玉枝  宮尾リウ
市田ひろみ  そよ子

婚期 1961 大映東京製作 大映配給 嫁小姑のコメディ映画

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