激化する朝鮮戦争での戦略上重要な橋の破壊作戦。敢えてこれに挑む第二次世界大戦時代のエースパイロット。しかし運命は過酷だった。

ブルーベイカー大尉は太平洋戦争の退役後、デンバーで弁護士を開業して美しい妻と娘二人に恵まれていた。しかし朝鮮戦争が始まり海軍に再び徴兵される。1952年にはジェット戦闘機F9Fを操縦していた。ある日、燃料切れで海上に墜落して、この戦争で初めて配備されたヘリコプターのマイクとネスターに救助される。そこでトコリ作戦が始まるまで休暇を与えられる。ちょうどそのとき、家族が箱根に押しかけてきた。妻ナンシーは夫の不在中、提督から作戦の困難さを聞かされ覚悟を持てと諭される。しばらくはブルーベイカーはナンシーと家族水入らずの生活を送るが、横須賀港で家族と別れ、再びブルーベイカーは朝鮮半島の戦場に向かう。隊長とブルーベイカーは一度だけトコリに現地偵察に飛ぶが、北朝鮮陸軍の対空砲火の激しさに不安を感ずる。ついに作戦が開始され第一の目標である橋は無事破壊した。そこで第二の目標の爆撃に移ったが、ブルーベイカー機は被弾して燃料漏れを起こし、平地に不時着する。そこへ北朝鮮陸軍の兵が一斉に襲いかかってくる。何度同僚のF9F、4機がいくら撃っても次から次へと彼らは湧いてくる。ヘリコプターが救援に来たがネスタは戦死した。残ったマイクと二人で用水路に身を隠したが周囲を北朝鮮の兵に取り囲まれる。

 

戦闘機に乗ってるときは安全だが、一度落ちてしまうと、海の底に吸い込まれたり、陸上なら機関銃の嵐に巻き込まれる。ブルーベイカーは一度海に落ちてから、飛んでいても恐怖を覚えるようになった。
ここではアジアでの戦争の恐怖の一端が描かれている。日本兵を含めて、アジア人は蟻のようにどこからともなく湧いてくる印象があるのだろう。この恐怖感がゲリラ戦中心となったベトナム戦争でのアメリカの敗北につながる。

日本でロケを行ったため、進駐軍時代の銀座のキャバレーがきちんと再現されている。残念ながらグレース・ケリーは来日しなかったため、ケリーのシーンだけはアメリカでのセット撮影と横須賀港での合成撮影である。とくに家族風呂のシーン(自分たちだけが独占していると思っていると日本人の四人家族が入ってくる)はちゃんと日本で撮ったらちゃんとした日本の喜劇俳優を使えばもっと面白くなった気がする。
ミッキー・ルーニーの別れた恋人役は、当時ビンボー・ダナオと結婚して英語に堪能な淡路恵子だそうだ。顔が後の時代と変わっているから二世女優だと思ってしまった。

監督 マーク・ロブソン
脚本 バレンタイン・デービス
原作 ジェームズ・A・ミッチェナー
配役
ウィリアム・ホールデン
グレース・ケリー
フレドリック・マーチ
ミッキー・ルーニー
ロバート・ストラウス
チャールズ・マックグロー
アール・ホリマン
淡路恵子

トコリの橋 1954 パラマウント

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