シリーズ第4作にして初のシネマスコープ作品。また関西・九州ロケ中心だったため、初めて宝塚撮影所で製作された。

若松の伯父から祖父の33回忌に来て欲しいという便りが届き、忙しい波平は名代として長男のカツオ(夏休み)と付き添いとしてサザエを送り出す。サザエは久しぶりに博多支店に配属された婚約者のフグ田くんと会えるとあって気もそぞろ。何だかんだあって何とか北九州の若松の実家に着いた二人。しかし法事の最中にサザエは酔っ払って大暴れしてしまい、伯父さんや大阪の叔母さんに大目玉を食らう。フグ田くんとようやく会えてカツオと三人で長崎から佐世保、雲仙と楽しく回り博多へ戻る。しかしそこで宝塚のスターでありフグ田くんの下宿のお嬢さんでもある悦子と再会する。またフグ田くんの異動先が宝塚に近い大阪支店と知らされ二人の仲を嫉妬する。そこで一念発起して料亭を経営している大阪の叔母さん夫婦の下で行儀見習いの修行をすることになったが、そこでもサザエさんとカツオは次々と騒動を引き起こす。

 

ワイドなシネスコだけに大作感がある。いろいろな役者を大量に投入するのはサザエさんシリーズでいつものことだが、さらにロケーションをフルに活用するのはシネスコならでは。
江利チエミはコミカルなキャラクターを持ったジャズ歌手だから、妄想シーンでいろいろなシチュエーションを利用して歌うのは得意技。この映画でも妄想シーンはたびたび使われている。斜め上を見る時、角度によっては、山村紅葉そっくりに見えた。同じ三人娘でも美空ひばりや雪村いずみだったら品が良すぎて妄想シーンでの歌唱は使いにくい。
安西鄕子が恋のライバル役として登場するが、宝塚のスターという設定である。強敵だけにサザエさんの妄想は活発に働く。ちなみに彼女自身は宝塚出身ではなく、OSK(大阪松竹歌劇団)出身である。
のりおという東京磯野家の居候はマンガやアニメでのノリスケの弟である。実は第一作でノリスケに仲代達矢を起用したのだが二回作以降は藤木悠ののノリオにバトンタッチしている。今回は大阪に住むのりおの両親、弟妹も登場し活躍する。

40歳の若さでこの世を去った環三千世(「小早川家の秋」)こそ宝塚出身者だがノリオの妹役で出演して、彼女の結婚物語が終盤のテーマになっている。

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躾に厳しい両親は彼女の恋愛に大反対する。その恋人役は山田真二が演じておるが、フグ田くんがやって来て、彼の会社の後輩だが実は会社の重役の息子であることが明らかにする。その途端、両親は掌を返して歓待する。いくら大阪人でもこれはやり過ぎだろうw。

 

監督:青柳信雄
製作:杉原貞雄
原作:長谷川町子
脚本:笠原良三
音楽:神津善行
配役
磯野サザエ:江利チエミ
フグ田:小泉博
波平:藤原釜足
舟:清川虹子
カツオ:白田肇
ワカメ:松島トモ子

西野万造(叔父):花菱アチャコ
西野ちえ(叔母):浪花千栄子
西野ノリオ(従兄):藤木悠
西野ユリ子(従姉):環三千世
ユリ子の弟:頭師正明
磯野本家の伯父:坂東簑助
磯野本家の伯母:一の宮あつ子
雲仙の青年:佐々十郎
客:トニー谷
浪人生:大村崑
汽車の客:由利徹
長崎旅館の客:南利明
悦子の父親:益田キートン
悦子:安西郷子

サザエさんの婚約旅行 1958 東宝宝塚

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