伊藤整の当時のベストセラー随筆を市川崑が映画化した。女性の新たな結婚観を描いている。何と伊藤整先生ご本人も登場する。1954年の映画と言えば、「七人の侍」か「ゴジラ」だ。「七人の侍」に出演したのが津島恵子と、「ゴジラ」に出ていたのが小泉博が出演している。あまり見ない取り合わせだが、旬の俳優として選ばれたのだろうか?
付き合いが長く過ぎて仲良しの友達になってしまったカップルが愛を取り戻すまでの話だ。

バレリーナのミナ子(津島恵子)は銀行員の小平太(小泉博)と学生時代から付き合っているが、お互いが仕事の理由で結婚を伸ばし伸ばしにしてきて、今やすっかり倦怠期に入っている。小平太はそろそろ結婚がしたくなったがミナ子はバレー団の分裂騒ぎでそれどころでなかった。小平太が見合いをしているとミナ子とばったり出くわし、はとこと紹介する。ミナ子は公演での主役を得てますます忙しくなるが、小平太も急にフィリピン転勤が決まり結婚相手を至急探さねばならない。そこでミナ子は小平太に後輩の千栄里(有馬稲子)を紹介する。そして二人の結婚式当日…

出演者の顔ぶれが妙に豪華なことを除くと、内容は陳腐である。結局、見合い結婚より長い付き合いの後に恋愛結婚すべしと言っているようだった。恋愛結婚すると倦怠期は早く来るものだが、それを克服して第二の新婚を感じられるようでなければならないということか。

津島恵子はこの映画でバレリーナの役を演じているが、知る人ぞ知る元バレエダンサーである。また自由が丘学園出身で黒柳徹子(当時はトモエ学園)の先輩でもある。
プロバレエダンサーの小牧正英がバレエ団団長役で出ていた。先日、「二十面相の復讐」という映画に怪人二十面相役で出演してるのを見たばかりである。

小説家の伊藤整はチャタレー夫人裁判を起こして怖い人かと思っていたが、案外気さくな人だった。

監督 市川崑
脚本 和田夏十
原作 伊藤整
製作 藤本真澄
音楽 黛敏郎

配役
ミナ子 津島恵子
小平太 小泉博
車田 上原謙
千栄里 有馬稲子
銀行の同僚 久慈あさみ
バレエの後輩 太刀川寛
小平太の父 徳川夢声
小平太の母 三好栄子
ミナ子の姉 中北千枝子
高村 小牧正英

女性に関する十二章 1954 東宝

投稿ナビゲーション