黒澤映画「天国と地獄」で犯人役を演じて期待の若手俳優だった山崎努主演の社会派ミステリかつ復讐譚。佐田啓二が悪役で出演。新珠三千代も影ある女の役で好演。

菊池警部補は女性が全裸で殺され川に捨てられた事件を追っていた。しかし暴力団員花井は菊池の妻に贈賄していたと証言し妻も収賄を認め夫も知っていたと証言したため、菊池は実刑となり懲戒免職の上、服役する。菊池はまんまと罠に嵌められたのだ。二年後出所した菊池は復讐を誓う。まず稲村と名を変え先輩の伝手で興信所に勤めた。ある日、高沢光江という女性の素行調査を命じられる。光江は高沢財閥の会長高沢重治の妻だった。尾行中に重治が2年前の殺人事件の容疑者柴田と会っていたことを知り、重治が事件に関与しているのではないかと疑う。稲村は恋人節子からの情報で重治が先代会長殺しの疑いもあることに気づく。

黒澤明映画「羅生門」(ヴェネチア国際映画祭グランプリ)などを書いた名脚本家橋本忍の同名小説を、広沢栄と橋本忍自身が脚色し堀川弘通がメガホンを取った。
この作品は、松本清張的な社会派ハードボイルドの形式をとっている。当時としては決して古くないが、何処かで読んだ気になる作品である。
黒澤組では橋本忍の大先輩にあたる堀川監督はモノクロ画面で重い内容を淡々と描いていくが、一部ショッキングな映像も用意している。監督らしくないと思ったので、このシーンには驚いた。

 

 

監督:堀川弘通
原作:橋本忍
脚本:橋本忍、広沢栄、堀川弘通
撮影:逢沢譲
音楽:黛敏郎

 

配役
山崎努 (稲村清一)
新珠三千代 (節子)
岸田今日子 (高沢光江)
佐田啓二 (高沢重治)
北あけみ
大坂志郎
志村喬
戸浦六宏

悪の紋章 1964 東宝宝塚

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