秋最大のヒットはラノベを京都アニメーションがアニメ化した「中二病でも恋がしたい」。
元中二病の高一男子勇太と現在中二病の同級生六花の恋話だが、そこに元中二病の美少女森夏、現在中二病の後輩凸守が絡んで、話がややこしくなる。

六花が高一にもなってから中二病になったのか謎を解くポイントだった。
彼女の眼帯は、奇しくも平成24年1月放送の「Another」の鳴と同じだ。
今年は眼帯少女で始まり眼帯少女で終わった。

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(2012/12/19)
福山潤、内田真礼 他

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城平京原作の漫画をアニメ化した「絶園のテンペスト」は2クールものだが、しっかり固定客をつかんでいる。
城平京は推理作家であり,過去に「スパイラル~推理の絆」という漫画原作を書き、大成功を収めた。
そしてアニメ化もされたが、そっちは残念ながら成功しなかった。
そこで12年たって捲土重来、漫画原作「絶園のテンペスト」を世に問うた。
内容はある魔法使いが妹を殺したのが魔法使いということはわかっているが,どの魔法使いが犯人か?というフーダニット+ファンタジーものだ。
せりふにシェークスピアの「テンペスト」と「ハムレット」の台詞を散りばめ、脚本の質を高めている。

「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」もラノベのアニメ化である。
妹は一方的ブラコンで、兄はノーマルだが実は二人に血縁関係はないことを気づいているという話。そこにいつものように同宿の女性陣が絡んでくるというハーレムもの。
茅原実里が主題歌を歌い、お嬢様キャラで出演もしているので見ていたが、好き嫌いは分かれるだろう。
「さくら荘のペットな彼女」も同様の下宿ラノベだ。帰国子女で漫画家を目指す美少女ましろと声優を目指す七海の間に挟まれて、ゲームクリエイターを目指す空太がうれしい悲鳴を上げる物語w
茅野愛衣がクールな主人公ましろを演じている。
「ガールズ&パンツァー」(略してガルパン)は今季最大の異色作品。
世界中の戦車をチームで操る「戦車道」なる武芸が高校の選択科目として認められている世界のお話。
ミリタリーオタク向けアニメである。
準決勝のロシア・プラウダ高校と大洗女子学園の一戦が非常に印象に残った。
ロシア語の発音指導は自ら出演している上智大学外国語学部在学中の上坂すみれが行ったそうだ。
思った以上に好評で、品質を落とせなくなり、最終回は延期されている。

虚淵玄の脚本、天野明のキャラデザを「踊る大捜査線」の本広克行監督がアニメ化した作品が「サイコパス」。
犯罪係数の計測値に基づき犯罪者になる可能性が高いものを割り出し事前に逮捕するコンピュータ管理社会のゆがみを描く。
スタッフの顔ぶれが凄い割りに内容が追いつかない感じだが、2クール放送なので今後に期待している。
日本SF大賞をとった貴志祐介の「新世界より」がアニメ化され大きな話題になったが、作画がデフォルメされすぎて、まったく親しみが湧かなかった。
少女漫画雑誌「デザート」から「となりの怪物くん」と「好きっていいなよ。」が同時にアニメ化されたが、ともに成功したようだ。
「となりの怪物くん」はガリ勉女子高生と適応障害の天才児の素直に進まないコミカルな恋を描いていて、女子だけではなく男子にも好評だった。
おそらく第2期があるだろう。

「好きっていいなよ。」はとくに目立たない女子とモデル男子の恋物語で、少女マンガとしては良くあるパターンだったが、案外男子には珍しかったらしく、これも好評だった。
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年間を通して見ると、ラノベ系のハーレムものや男女混合バトルものが未だ多い中、創意工夫をこらした番組も見られた。
マイベスト5は次の通り。
5位 「絶園のテンペスト」(漫画、ファンタジー+シェークスピア)
4位 「人類は衰退しました」(ラノベ、社会風刺劇)
3位 「ガールズ&パンツァー」(オリジナル、戦車を操作する武道もの)
2位 「ヨルムンガンド」(漫画、現代の戦争ものだがハリウッド映画を越えている。)
1位 「氷菓」(ミステリ小説だが、美しくアニメ化している。)

2012年テレビアニメ秋・回想

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