島田一男の大衆推理小説「屍蝋の市場」を松浦健郎石松愛弘が脚色し、村山三男が監督したアクション映画

主役は田宮二郎。共演は久保菜穂子、坪内ミキ子、山茶花究
大映京都撮影所に変わって、シリーズでは初のカラー映画になった。

あらすじ

南郷次郎弁護士に真夜中、文江という女から助けてという電話が掛かってきた。次郎が駆け付けると、電話ボックスで文江は死んでいた。妊娠しており、高いところから落ちたようだ。
翌朝、文江の倒れた場所から、目と鼻の先にある永楽ホテルで、カップル客が行方不明になった。その上、ベッドに大量の血が流れていた。警察からは、馴染みの板津刑事が出張ってきた。文江は部屋のベランダから落ちて、下の車の上で腰を強打したらしい。男の方は、どうやって消えたか分からない。

南郷は、文江が持っていたパーティ券を使って、名門旅館に行った。顔見知りのバーのマダム婦貴子から、文江が庵谷という役人とつきあっていたことを聞き出す。その夜、次郎はパーティ主催者であるホテル社長宝城竜子と出会った。彼は、その美しさに目を見張った。その間に婦貴子は、何者かの手で殺された・・・。

雑感

原作では、助手(京子)は殺される。しかし京子役の坪内ミキ子は、「坪内逍遙の孫」という売り出し方をしていたので、そう言う扱いは出来なかった。実際は、坪内ミキ子は孫ではない。彼女の父は、確かに逍遙の養子に入ったが、彼女が生まれる前に養子縁組を解消している(逍遙が、当時の嫁である外国人を嫌ったため)。従って、彼女は孫ではない。

新東宝で1961年に天知茂主演で島田一男原作の白黒映画「南郷次郎探偵帳 影なき殺人者」を撮っている。新東宝が倒産して、大映に映画化権が移り、その続編が作られた。これが「黒の挑戦者」である。
クールな天地茂と違って、田宮二郎は女に甘い。そこが違いだ。
ノリの良い音楽は、浜口庫之助である。

久保菜穂子の役柄は、移籍後の彼女の定番になったものだった。会ったばかりの探偵を好きになって、彼を凶弾から護って死んでいく。一体いつの間に南郷(田宮二郎)を死んでも良いほど愛したんだw。
アクション・ドラマとしては良いのだが、ミステリ映画としては何のひねりもなく弱い。

スタッフ

企画  三輪孝仁
原作  島田一男
脚色  松浦健郎、石松愛弘
監督  村山三男
撮影  渡辺公夫
音楽  浜口庫之助

 

キャスト

南郷次郎弁護士  田宮二郎
秘書金丸京子  坪内ミキ子
謎の女宝城寺竜子  久保菜穂子
板津部長刑事  山茶花究
バーのマダム婦貴子  藤原礼子
第一の被害者東野文江  紺野ユカ
藤縄  北城寿太郎
庵谷樹一  島田竜三
表川天童(南郷の後援者)  見明凡太朗

***

弁護士助手の京子は、庵谷の周辺を洗った。庵谷は、ピンピンして役所に登庁している。しかし永楽ホテル支配人は、文江と一緒に泊まったのは庵谷であると証言を得た。文江は子どもを身ごもったので、庵谷に殺されたのだ。

南郷は、役所が終わった後、庵谷を追って伊豆にやって来た。すると、竜子に部屋に連れこまれた。そして、のぞき穴から覗くと、自由を奪われた京子が男たちの飢えた視線にさらされていた・・・。

危機一髪のとき、連絡を受けていた板津刑事が現れて、京子を救い出した。
しかし南郷が顧問弁護士をする貿易会社社長表川が、ピストルをつきつけた。彼が黒幕だったのだ。表川が引き金を引くや、竜子が身を挺して南郷を護った。彼女は、南郷を愛していたのだ。
次郎は、敵組織との拳銃戦を制して、表川を倒した。

 

 

黒の挑戦者 1964 大映京都製作 大映配給 – 黒のシリーズ第八弾にして初めての京都撮影所製作

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