第二次世界大戦において、CBI(ビルマ)戦線でメリル襲撃隊と呼ばれ日本陣を深く突き進み内から崩していく部隊があった。その実録小説の映画化である。
主演はこれが遺作となったジェフ・チャンドラー。共演はワーナーのテレビ俳優陣、タイ・ハーディンクロード・エイキンスがいる。
監督はセンスあふれるバイオレンス映画を撮るサミュエル・フラー。製作、脚色はワーナーのミルトン・スパーリング。ロケ地はフィリピンで、カラー作品でワーナー最後のシネマスコープである。
 

 

 

あらすじ

 
米軍の第5307編成部隊(3000名から成る特殊連隊)は名だたるツワモノ揃いだが、その目的はビルマ戦線深くまで入り込んで日本軍を中から撹乱することだった。
指揮官の一人、メリル准将はいくつかの中隊(メリル襲撃隊)を率いて、ワラウバム日本基地を落とす。メリルが息子のように目をかける弟子ストックトンは小隊長としてプラトゥーンをよく統率していた。
目的を果たしたから、彼らが休暇が貰えると喜ぶのもつかの間、英国軍スティルウェル将軍は、次に長い湿地を走破してシャダザップ鉄道を制圧せよとメリル准将に命令する。補給路は絶たれて、途中でチフスで倒れる者もいた。なんとか行き着いて鉄道を手に入れるが、日本軍の猛烈な反撃を受けて多くの仲間を失った。
今度こそ休暇が取れると思っていたストックトン小隊だったが、メリルはすでに次の命令を受けていた。日本軍が英領インドに進出したため、今度は高い山越えをしてミッツィナの日本軍飛行場を攻略しなければならない。
山越えでも多くの仲間たちが高山病で倒れたり転落死した。メリル准将も持病が痛み出していた。メリル襲撃隊は、ミッツィナ飛行場の敵部隊と正面衝突した。途中でメリルが冠動脈血栓で倒れる。ストックトンはメリルの分も奮戦し、ついに連合軍が空港を押さえる。
こうしてビルマ戦線は連合国が有利になっていった。しかし両軍共にあまりにも多くの人数を失った。戦争が終結した時、メリル襲撃隊は3000名ほどいた100名しか残っていなかった。

 

 

雑感

 
フラー監督は、この映画の主役にまずゲイリー・クーパーを指名したが、当時の彼に、長期フィリピン・ロケに耐えられる体力はなかった。彼は撮影に入る前に亡くなってしまう。
そこで監督は「折れた矢」で主演男優賞にノミネートされたジェフ・チャンドラーを抜擢した。
ところがチャンドラーも撮影中に怪我をして緊急治療でアメリカに帰るが、敗血症となり急逝する。享年42歳の厄年だった。
最後のシーンは戦後の実写映像だった。ここは見ていて非常に違和感があり、評判が悪い。これはフラー監督の期待していたものではなかったが、チャンドラーが急遽帰国で撮影から離れたためにやむを得なかったのだろう。
実際のメリル准将は戦後も健在だった。

 

第5307部隊には陸軍情報部(MIS)もいた。主に日本語を話せる者で暗号解読を受け持った。日系二世も多くいた。

この映画で覚えた言葉がある。Banzai Dawn 直訳すると、夜明けのバンザイだ。日本人がよくやる明け方の奇襲(日本人は万歳などと大声で気合を入れながら攻撃する癖がある)の連合軍での呼び名だ。

スタッフ・キャスト

 
監督 サミュエル・フラー
製作 ミルトン・スパーリング
原作 チャールトン・オグバーン・ジュニア
脚本 ミルトン・スパーリング 、 サミュエル・フラー
撮影 ヒジノ・J・ファロリナ

 
配役
メリル准将 ジェフ・チャンドラー
ストックトン二等中尉 タイ・ハーディン
ブルズアイ ピーター・ブラウン
チャウ・ハウンド ウィル・ハッチンス
コロドニー軍医 アンドリュー・デュガン
コロヴィッツ軍曹 クロード・エイキンス

陽動作戦 The Merrill’s Marauders 1962 USピクチャーズ製作 ワーナーブラザーズ配給 呪われた戦争映画

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