製作サミュエル・ゴールドウィン、監督ウィリアム・ワイラーのコンビで「嵐ケ丘」の次に公開した西部劇である。悪代官ロイ・ビーンに関わる話だが、事実とは全く異なる、完全なフィクション。
ゲイリー・クーパーが主演し、共演はウォルター・ブレナン(アカデミー助演男優賞を受賞)、ドリス・ダヴェンポートリリアン・ボンドダナ・アンドリュースもチョイ役で出演している。
 

 

 

あらすじ

 
1880年代のテキサス。牧畜業やキャトルドライブの中心であるテキサスに、開拓農民が移住して来て、牧草地を巡って両者は争った。酒場の経営者であるロイ・ビーン判事は、裁判で牧畜業者に肩入れした判決を乱発していた。馬泥棒と間違えられた流れ者のコールは、判事が女優リリー・ラングトリーのファンだと知り、リリーの髪の毛を持っていると嘘を吐き、死刑の執行を猶予され、その間に真犯人を見つけ射殺する。
農民がロイ・ビーンをリンチに掛けようとした際、コールは双方に手打ちをさせ、リリーの髪の毛をコールにあげる代わりに、牛が農地には入らないことを判事に約束させる。コールは農家の娘ジェーン=エレンから髪の毛を貰い、リリーのものとしてロイ・ビーンに渡した。
感謝祭の当日、牧童たちは農場や作物に焼き打ちをかけた。焼け跡で、毅然とした態度を取るジェーン=エレンを見て、コールはロイ・ビーンと対決することを決心する。コールは、判事が焼き打ちを指揮したことを白状させたうえで、保安官を訪ねて逮捕状を発行させ、自ら副保安官となりロイ・ビーンがリリーの公演に来るのを待ち構えた。ロイ・ビーンはリリーの公演の切符を一人で買占め、たった一人で劇場に入るが、そこに立っていたのはコールだった。コールはロイ・ビーンを撃つが、最後に情けで憧れのリリーに一目会わせてやる。
そしてコールは農園でジェーン=エレンと結婚して、逃げた農民が帰ってくるのを待つのだった。
 

 

雑感

 
この映画のおかげで日本でロイ・ビーンは大悪党と考えられているが、実際は天寿を全うしベッドで病死したし、テキサス州は南北戦争百周年を記念して、地元の治安を守った英雄の一人として顕彰している。
ウォルター・ブレナンはこの映画で悪党だが憎めない役を演じて、三度目のアカデミー助演男優賞に輝いた。これは今も残る最多記録である。
リリー・ラングトリーは実在の女優で、ロイ・ビーンはリリーに因んで自分の酒場をザ・ジャージー・リリーと名付けている。ただし、二人は会っておらず、ロイ・ビーンの死後、話を聞いたリリーは記念にラングトリーを訪れた。
 

 

スタッフ・キャスト

 
監督 ウィリアム・ワイラー
製作 サミュエル・ゴールドウィン
原作 スチュアート・N・レイク
脚色 ジョー・スワーリング 、 ナイヴン・ブッシュ
撮影 グレッグ・トーランド
 
配役
コール   ゲイリー・クーパー
判事ロイ・ビーン ウォルター・ブレナン (アカデミー助演男優賞)
マシューズ フレッド・ストーン
ジェイン・エレン ドリス・ダヴェンポート
ウェイド  フォレスト・タッカー
リリー・ラングトリー リリアン・ボンド
コブル   ダナ・アンドリュース
 

 

西部の男 The Westerners 1940 サミュエル・ゴールドウィン製作 ユナイテッド・アーティスト配給 大映洋画部国内配給

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