母親と四人兄弟が連続強盗するが、最後はFBIによって射殺される、ロジャー・コーマンアメリカン・ニュー・シネマ
昔、東京12チャンネルではしょっちゅう放映していたが、実はアメリカ国内でマイナーなAIPが配給したので国内未公開作。おそらく東京12チャンネルが直接買い付け。
主演のママ役はシェリー・ウィンターズ。長男ハーマン役はドン・ストラウド、三男ロイド役はロバート・デニーロ、四男フレッドの愛人ケヴィン役にブルース・ダーン

あらすじ

20世紀初めにミズーリ州で、父親と兄たちから性的暴力を受けていたケイト・バーカーは結婚して4人の息子(ハーマン、アーサー、薬中のロイド、ホモのフレッド)を産んだ。貧しくダメ男の夫との生活に疲弊したケイトは、息子たちが近所に対する窃盗と娘の強姦罪で保安官に疑われたのをキッカケに、夫を捨てて保安官から盗んだ車で息子4人と逃亡する。
四人兄弟は、田舎の人々が集めた募金箱をくすねたり、小さな宝石店を襲ったりして生計を立てていた。しかし大した儲けは得られない。
ハーマンには結婚しても良いと思える女モナができた。しかし長男ハーマンと四男フレッドがドジを踏んで逮捕される。ケイトは可愛い息子二人の弁護費用のために、自ら銀行強盗を指揮して成功させる。息子二人は保釈されるが、長男はモナを、四男はホモセクシャルだったので恋人ケヴィンを連れて帰ってきた。

弁護料で有り金を使い果たしたケイトは誘拐事件を起こす。人質は地方の名士サム・ペンドルベリーで、身代金として30万ドルを要求する。サムの妻はケイトに勝る強か物で、なかなか返事をよこさず、ケイトが痺れを切らしたところで15万ドルに値切ってくる。誘拐された時から目隠しをされていたサムは非常に紳士であり、ケイトはレディとして扱われ、四人兄弟は彼が理想の父親のように思えて気に入ってしまう。
人質解放になって、ケイトは涙を飲んでサムを殺せと命ずるが、四人兄弟には殺せなかった。ハーマンは殺せなかったことに対して、生まれて初めて母親に反抗してしまう。ケイトは嬉しくもあり、寂しくもあった。
しかしこの事件がFBIの捜査対象となって、彼らは州を跨いでも追われる身になる。裕福になったハーマンたちは湖畔の別荘を借りる。その途端、ロイドがオーバードーズで急死する。ケイトは泣き喚くが、ハーマンはそんなことはわかってたはずだとばかり、ケヴィンと共にワニ狩りを楽しんでる。農家の豚を餌にして、ワニを射殺する様子を警察に通報されてしまい、FBIの激しい銃撃の前に全員射殺される。

 

雑感

1970年代当時は、ギャングママのはちゃめちゃさが最高に感じられたが、今見直すと、何かしみじみして母娘の関係について考えさせられる話だった。

はじめは「俺たちに明日はない」の20世紀初頭のギャングと「影なき狙撃者」の近親相姦を混ぜたような感じがする。おそらく夫を捨てたのは、息子たちが成長して近親相姦の相手にしたからだろう。
ところがサムとケイトや四人兄弟が心を通じ合わすようになるに連れ、母子の関係性が変わって行く。そして長男が母に代わり、兄弟をリードする。ところがそのために彼らは絶滅する。

今考えると、アカデミー助演女優賞を既に二回受賞していたシェリー・ウィンタースの出演料だけで、他の男優全員の出演料全額を賄っているのではないかと思う。吹替版ではシェリーは高橋かつえ(初代カツオくんの声)だ。ロバート・デニーロは薬物中毒のための役作りが凄まじく,今まで見たことがないほどだったとシェリーに言わしめた。

1930年代に起き、映画のモデルとなったケイト・バーカー事件で母ケイトの直接関与は証明されていない。間接的支援の留まったと考えられている。

スタッフ

監督・製作 ロジャー・コーマン
製作総指揮サミュエル・Z・アルコフ 、ジェームズ・ H・ニコルソン
脚本 ドン・ピーターズ、ロバート・トム
音楽 ドン・ランディ
撮影 ジョン・A・アロンゾ

 

キャスト

ケイト シェリー・ウィンターズ
若き日のケイト リサ・ジル
フレッドの友人ケヴィン ブルース・ダーン
長男ハーマン  ドン・ストラウド
四男フレッド ロバート・ウォルデン
夫ジョージ アレクス・ニコル
三男ロイド ロバート・デニーロ
人質サム パット・ヒングル
次男アーサー クリント・キンバロー
ハーマンの愛人モナ ダイアン・ヴァーシ
レンブラント パメラ・ダンラップ

血まみれギャングママ Bloody Mama 1970 アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)製作・配給

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