斉藤プロを興した斉藤耕一が監督した後期GS映画四部作の二作目。登場するGSバンドはフォーク・ロックのヴィレッジ・シンガーズであり、ヒット曲を次々と披露する。

しかし主役は竹脇無我尾崎奈々という当時の松竹青春映画の王道カップルだ。(のちに二人は柔道映画「姿三四郎」の主役とヒロインを演ずるが、尾崎奈々は面長だから、桃割れ姿が似合わなくて呆れたことがある)

映画のタイトルは彼らの「亜麻色の髪の乙女」に続く第6弾シングル曲のタイトルから付けている。

あと、パープル・シャドウズも何の脈絡もなくw劇中で大ヒット曲「小さなスナック」を歌っている。

あらすじ

人気GSバンドであるヴィレッジ・シンガーズは一週間の休暇をもらう。そこで五人揃ってナンパに出かけるが、民子とエミ(尾崎奈々)に逆ナンされてしまう。実は民子達は空き家になっているお屋敷を利用させてもらい、夏休みの保育所を開いていた。そこで働いてくれるボランティアの青年を探して、ヴィレッジ・シンガーズとは知らずに、声を掛けたのだ。ところが子供たちはヴィレッジ・シンガーズだろ分かり大喜び。彼らも子供を可愛がり充実の一週間を過ごす。彼らとなじみの記者(中山仁)が取材に来るが、お屋敷の息子がかつて家出したと聞いてミュージシャンの岡田健(竹脇無我)がその人だと気付く。

健は実家に戻り、ヴィレッジ・シンガーズは休暇を終えて仕事に戻る。健は別れた母親と彼女を捨てた父親をうらんでいて、周りのものに当たり散らす。そんな健の理解者はエミだった。二人はいつしか愛を育む。

ある日、父が電話してきて、屋敷を売りに出すと言う。健とエミは母の元へ屋敷を買うための資金を借りに行くが、断られる。健とエミが屋敷に戻ると、父が屋敷に乗り込んできて、父子喧嘩が始まる。健は家を飛び出すが、雷に打たれて倒れているところ(!)をヴィレッジ・シンガーズに助けられる。

気がついた健と父はともに過去を反省し、エミと三人でやり直そうと誓うのだった。

 

 

雑感

この映画は前作と比較すると、出演者は少々地味だ。お笑いは牧伸二トリオ・ザ・スカイライン(東八郎と小島三児がいた)ぐらいしか出ていない。

脚本(あるいは編集)も飛ばしすぎて、肝心の主役カップルが如何にして結ばれるか省略されている。最初の脚本段階では恋愛映画として仕上がっていたのだが、ホリプロがヴィレッジ・シンガーズの出演時間が少なすぎると難癖を付けた。上映時間が限られているので、編集で泣く泣く竹脇無我と尾崎奈々の恋愛シーンは切ったのだろう。弱小映画プロダクションの悲しいところだ。その代わり、ヴィレッジ・シンガーズのPVとしての魅力は大きくなった。

ヴィレッジ・シンガーズは何回かメンバーチェンジをしている。この映画に出演しているのはシングル二曲を発売したがヒットせず、二人が抜けて小松(リーダー)と林ゆたかだけになったので、新メンバー小池、笹井、清水を補充した第二次ヴィレッジ・シンガーズである。

メンバーの内、林ゆたかは解散後、俳優として活躍していたことがあるので忘れない。また清水道夫はリード・ボーカルだったし、外見も爽やかで記憶に残っている。今で言えば、金足農業高校の投手吉田輝星タイプだ。

尾崎奈々はロングよりショートの方が良いな。

スタッフ

監督 斎藤耕一
製作 升本喜年
脚本 桜井義久
企画 堀威夫 (所属のホリプロ社長)
撮影 大越千虎
音楽 チャリー脇野

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配役

健  竹脇無我
エミ  尾崎奈々
ヴィレッジ・シンガーズ 小松久、林ゆたか、小池哲夫、笹井一臣、清水道夫
執事吉岡  美川陽一郎
娘民子  葉村エツコ
司会  牧伸二
押し売り トリオ・ザ・スカイライン
記者  中山仁

母せつ子  沢村貞子
父剛造  加東大介

虹の中のレモン 1968 松竹 – ヴィレッジ・シンガーズのプロモーション映画

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