エリック・ロメール監督がヴェネチア映画祭で金獅子賞を獲得した作品で、「喜劇と格言劇集第五話」。
台本ほとんど無しの即興中心の映画である。
素人俳優を多用して、意外な効果を得ている。
この作品のおかげで、ロマンスの国フランスにも奥手で優柔不断な女性がいることが、よくわかった(笑)

 

 

スタッフ・キャスト

 

監督 エリック・ロメール
製作 マルガレット・メネゴス
脚本 エリック・ロメール
撮影 ソフィー・マンティニュー
音楽  ジャン・ルイ・ヴァレロ
出演:
マリー・リヴィエール(恋の秋)
ヴァンサン・ゴーチエ
カリタ
マリア・ルイザ・ガルシア

 

 

あらすじ

秘書デルフィーヌは夏休みを取るが、一緒にバカンスに行くはずだった友人はキャンセルしてしまう。
他の友人が哀れに思い、シェルブールに連れて行くが、デルフィーヌは仲睦まじいカップルの姿にいっそう惨めになり、パリに戻ってしまう。
8月に入り、アルプスへ行っても、海へ行っても彼女は全く楽しくない。
そんなときビアリッツの海辺で老婦人から「緑色の夕陽が見えたとき、本当の自分の気持ちを知る」という噂を聞く。
パリに帰る列車に乗ろうとして待合室にいると、ある男性と知り合う。夕方だが、彼女はふと彼を海辺の散歩に誘う。

 

雑感

 

あらすじを読んでも、あまりおもしろくない。
本質は台詞ではなく、表情にある。
デルフィーヌの優柔不断ぶりはすさまじく、イジイジしてくるのだが、同時に心配してしまう。
それを引き立たせているのが、周囲の素人演技だと思う。

「緑の光線」とはSF作家ジューヌ・ヴェルヌによって書かれた珍しい女性恋愛小説である。
映画は、この小説をモチーフにして作られている。

 

 

このシリーズは一つの映画毎にことわざが使われている。
この映画では、
Ah, que le temps vienne… Ou les coeurs s’èprennent. (Rimbaud)
「ああ! 心といふ心の 陶酔する時の来らんことを!」(中原中也訳)

と言う詩が引用されている。
実はこのフレーズの前に、人生を無為に過ごしてきた後悔が書かれている。

 

緑の光線 (Le Rayon Vert)1986 フランス映画 ヌーヴェル・バーグの名匠エリック・ロメール監督の「喜劇と格言劇集」から

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