砂漠の狐といわれたロンメル将軍がヒットラーに疎まれ毒殺されるまでの物語。
インド軍の中佐でロンメルの捕虜になった経験がある人が、戦後独自に取材した作品をヘンリー・ハサウェイ監督が映画化した。

ロンメル夫人が監修して、史上最も事実に近いロンメル像を描いたと言われる。

あらすじ

初めは北アフリカで音もなくイギリス軍を中心とした暗殺部隊がロンメルの命を狙うが、手厚いドイツ軍の防備に押し返されて一人が捕虜となるところまでを描く。その直後に戦争映画らしい音楽とオープニング・タイトルが始まる。

次第に北アフリカのエルアラメイン戦線はモントゴメリー元帥率いる連合軍が有利になる。物量差が大き過ぎて、撤退しかないとロンメルは覚悟を決めるが、ベルリンのヒトラーは今の拠点を死守せよと言う。ロンメルは命令に反して部下の命を守る方を選ぶ。
ロンメルはその後休養を余儀なくされドイツへ召喚される。ロンメルはヒトラー率いるナチス・ドイツでは勝てないと旧友シュトローリンに語る。
現場に戻ったロンメルは西部戦線司令官ルントシュテット元帥と面会する。大西洋の壁と言われるフランス海岸線防衛網も専門家の目には穴だらけだったが、ヒトラーはそれ以上動かなかった。しかし欧州戦線は親衛隊やゲシュタポの監視網が厳しくなって言いたいことが言えない。
1944年2月珍しくロンメルが帰宅した時、シュトローリン博士が訪問した。シュトローリンは仲間とヒトラー暗殺を計画しており、ヒムラーを嫌悪するロンメルを何としても仲間に加えたがっていた。
6月連合軍がノルマンディに上陸する。西部戦線のルントシュテットは、ベルリンのカイテル元帥に責められる。その頃、反ヒトラー派への弾圧も始まり、ロンメルは決断を迫られる。ロンメルはフランスに滞在するヒトラーと面会して降伏すべきと上申するが、ヒトラーは聞く耳を持たない。ロンメルはヒトラー暗殺計画に参加する決心をした。
ところがロンメル自身が敵戦闘機の機銃掃射で負傷する事件も起きる。彼の入院中に東プロシアでシュタウフェンベルク中佐によるヒトラー暗殺未遂事件が発生し、ヒトラー自身は5日間の入院で済んだが、5000人もの反ヒトラー派が処刑される。
1944年10月、ロンメルは退院して自宅で静養しているところにブルクドルフ将軍が訪問する。ロシア前線についての話のはずだったが、ブルクドルフはロンメルに対する死刑判決を持っていた。妻子を生かすために、ロンメルはブルクドルフに連行されるを選び、毒を飲まされて死ぬ。

雑感

ロンメルがなぜ英雄になったか?彼は僻地アフリカでしか戦っていない。
そのアフリカへはSS(親衛隊)が来ておらず、捕虜の取り扱いが適正だったようだ。そこら辺にヒントがありそうだ。独軍と親衛隊の不仲は「ナバロンの要塞」でも有名だ。

 

砂漠の戦闘をふんだんに使ってくれるかと思ったが、意外に政治色の強い映画だった。とくにドイツ国内でのシーンが多かった。
早い時期からヒトラーはフセイン元大統領のように気が狂っていたことになる。
ルントシュテットなど、ヒットラーのことを、ぼろかすに言っている。

しかし現実にはヒトラー個人の問題だけではあるまい。ヒットラーの取り巻き連中の悪行をもっと描いて欲しかった。

 

ロンメルの妻を演ずるジェシカ・タンディは、ヒロインタイプではない。
大学生程度の息子がいる役だったが、「旅愁」よりは美人だった。
しかし、年取ってからおばあちゃんになった時の方が、はるかにきれいになったと思う。

 

 

スタッフ

監督 ヘンリー・ハサウェイ
製作 ナナリー・ジョンソン
原作 デズモンド・ヤング
脚色 ナナリー・ジョンソン
撮影 ノーバート・ブロディン
音楽 ダニエル・アンフィシアトロフ
監修 ルーシー・ロンメル未亡人

キャスト

ロンメル将軍・元帥 ジェームズ・メイソン
旧友カール・シュトローリン博士(シュトッツガルト市長) セドリック・ハードウィック
ロンメル夫人  ジェシカ・タンディ
ヒトラー  ルーサー・アドラー
ブルクドルフ将軍 エヴェレット・スローン
ルントシュテット元帥 レオ・G・キャロル
フリッツ・バイエルライン将軍 ジョージ・マクレディ
側近アルディンガー リチャード・ブーン
暗殺者フォン・シュタウヘンベルク中佐  エドワード・フランツ
子息マンフレッド・ロンメル ウィリアム・レイノルズ
シュルツ将軍  チャールズ・エヴァンス
ルーゲ提督  ウォルター・キングスフォード
カイテル元帥 ジョン・ホイト
大佐  ダン・オハーリー

 

砂漠の鬼将軍 The Desert Fox 1951 20世紀フォックス製作・配給

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