不良映画だとばかり思っていたら、戦争映画だった。
加山雄三の記念すべき初主演作。
正直言って、当時の方が格段に演技がうまかった。
太平洋戦争中、中国で戦死公告が出てしまいながら、生き残っていた左文字少尉以下の小隊は厄介者扱いをされて戦地から戦地へと追いやられる。
行軍中、八路軍に四方を囲まれる。両軍ともマラソン状態になってしまう。
疲れ果てた八路軍の梁隊長は軍使を出して、また元気なときに戦おうと左文字少尉と別れる。
今回の任務は壊滅した日本軍の軍旗と旗手の行方探しである。
八路軍の攻撃を受けながら、何とか旗手と軍旗を見つけ、旗手を世話をしてくれた中国娘と逃がしてやる。
なおもゲリラの包囲を受けるが、左文字少尉と戸山軍曹の機転で切り抜ける。
夜が明けて彼らを待っていたのは、八路軍の大部隊と梁隊長だった。
何人かは死ぬけれど、あまり殺し合いをする映画ではない。
岡本監督らしいコメディタッチだ。
加山雄三も良かったが、当時大人気だった連続テレビドラマ「コンバット」のサンダース軍曹(ヴィック・モロー)を意識したのか、佐藤允がやたらと格好良い。
さらに堺左千夫、江原達怡、山本廉にとっても代表作と言える出番、台詞の多さだった。
このように女っ気が少ない男臭い映画だが、さすがは岡本監督、戦争批判を込めた秀作である。
でも滑稽で人間味のある梁隊長役を、外人物まねを得意としていたフランキー堺が好演している。
たとえばタモリを梁隊長役にしていま、こんな(中国から見た親日的)映画を作ったら、中国は怒るだろうな。
なお、岡本監督の前作「独立愚連隊」とは話のつながりはない。
監督 岡本喜八
脚本 関沢新一 岡本喜八
製作 田中友幸
撮影 逢沢譲
美術 阿久根巖
音楽 佐藤勝
出演
加山雄三 (左文字少尉)
佐藤允 (戸山軍曹)
堺左千夫 (神谷)
江原達怡 (小峯衛生兵)
山本廉 (関曹長)
中谷一郎 (早川)
平田昭彦 (大江大尉)
久保明 (旗手)
フランキー堺 (梁隊長)
田島義文 (参謀)
中丸忠雄 (八路軍に投降した中尉)
水野久美 (従軍看護婦)
横山道代 (従軍慰安婦)

独立愚連隊西へ 1960 東宝

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