ラファエル・サバティニの原作小説の映画化で、ケイシー・ロビンスが脚色しマイケル・カーティズが監督した名誉革命時代の海賊もの。
主役は、オーストラリアで映画出演していたがハリウッドでまだ無名だったエロール・フリンが勤める。
相手役は、若くて美しかったオリヴィア・デ・ハヴィランド、共演はライオネル・アトウィル、ベイジル・ラスボーン、ロス・アレクサンダー。白黒映画。

あらすじ

1685年頃、英国ではローマ・カトリックと新教徒の対立、さらに王位継承問題が起きた。王甥であるモンマス公の反乱でカトリックであるジェームズ2世軍と争ったため、ギルドイ卿は負傷した。村の開業医ピーター・ブラッドは、請われてこれを治療したため、逮捕され大審院長ジェフリイ卿から西インド諸島ジャマイカに奴隷として流された。彼と共にダイク卿、ウォルヴァートン、ジュレミー・ビット、バグソープ、オーグル牧師も流された。

ブラッドは、ジャマイカ軍司令官ビショップ大佐の姪アラベラに見初められ10ポンドで買われた。スティード領事が痛風だったので、アラベラはブラッドに治療をさせ、彼は領事の寵愛を受ける。
スペイン艦隊は、ジャマイカを襲い領事から莫大な身代金を取り立てた。しかし、海賊が上陸している隙にブラッドは、バグソープ、ビット、ウォルヴァーストンらとスペイン船を占領し、ボートで帰ってきた倒す。そして、一旦はビショップ大佐を迎えるが、生みに突き落とし大西洋に出航した・・・。

 

雑感

英国の名誉革命(1688)直前から始まる混乱期に、カリブ海で活躍した海賊は大勢いたが、ヘンリー・モーガンが一海賊からジャマイカ総督代理にまで出世した。だから、海賊ブラッドはヘンリー・モーガンをモデルにしていると考えられる。
スチュアート朝の英国は、17世紀初頭にスコットランド、アイルランドと統一を果たすが、政治体制は安定しなかった。1648年の清教徒革命(一種の市民革命)でチャールズ1世が処刑され王国が一旦倒れ、共和政が敷かれる。それも1660年に廃止されて、なくなった王の息子チャールズ2世が就位する。1685年には、弟のカトリック王ジェームズ2世が就位するが、プロテスタント勢力が強い議会と対立して反乱が続発する。
ブラッドはインテリの医者である設定だ。恐らく、彼や一緒に流された仲間は、プロテスタントなのだろう。当時、正規の海軍より海賊の方が強いことは多かった。
16世紀のドレイク艦長は、海賊だったが、カトリックの連中から奪い取っていたのだから、悪いことをしていると思っていない。海軍提督になり、アルマダ海戦でスペインの無敵艦隊を倒す。

エロール・フリンは、なかなかのイケメンだ。まだ、少し痩せ型である。

オリビア・デ・ハビランドは、見るからにお姫様である。若い頃は、エロール・フリンと活劇映画でたびたびコンビを組む。彼女は、エロール・フリンから何度もアプローチを掛けられたそうだが、断ったそうだ。恐らく、彼は結婚していたし、夜遊びも凄かったのだろう。

ベイジル・ラズボーンは、映画でのシャーロック・ホームズ役で有名だが、剣戟映画では悪役が多かった。

 

スタッフ

監督  マイケル・カーティズ
脚色  ケイシー・ロビンソン
原作  ラファエル・サバティニ
撮影  ハル・モーア

 

キャスト

ピーター・ブラッド(医師)  エロール・フリン
アラベラ・ビショップ(ビショップの姪)  オリヴィア・デ・ハヴィランド
ビショップ大佐  ライオネル・アトウィル
レヴァセール船長(フランスの海賊)  ベイジル・ラスボーン
ジェレニー・ピット(子分)  ロス・アレクサンダー
ハグソープ  ガイ・キッビー
ウィロビー卿(新王の遣い)  ヘンリー・スティーブンソン
ウォルヴァーストーン  ロバート・バラット
ブロンソン医師  ホバート・カヴァナ
ホワッカー医師  ドナルド・ミーク

 

***

ブラッドは、仲間と海賊団としての盟約を誓い、次々に帆船を襲い、宝物を奪って西インド諸島に覇を成すようになった。
時の成り行きで、フランスの海賊ルヴァスールと同盟を結んだ。するとルヴァスールは、アラベラと新国王ウィリアムの代理人ウィロビー卿が乗る船を乗っ取り、独り占めしようとする。ブラッドは、レヴァスールを倒しアラベラとウィロビーをもてなした。ブラッドは、ジャマイカに寄港しようとするがアラベラは、ビショップがブラッドを恨んでいるから、逃げてと言った。ウィロビー卿は、名誉革命が起きてジェームズ2世が追放されて、プロテスタントであるウィリアム3世の治世になったことをブラッドに伝える。

英仏両国に宣戦が布告されたが、ジャマイカ領事を受け継いだジェームズ2世派のビショップは、ブラッドを追っていたので、フランスに隙を突かれ襲われた。
ブラッドは、ウィロビーとジャマイカに行って、フランス艦隊を撃退した。フランスに襲われたことを聞いたビショップが、のこのこ帰って来た。領事室に任命されて悠然と執務室で座って待っていたブラッドは、彼を逮捕した。晴れてブラッドの妻となったアラベラは、叔父の命乞いをするのであった。

海賊ブラッド Captain Blood (1935) MGM製作・配給 エロール・フリンが初主演した海賊アクション映画

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