獄門島以来である。最後は度肝を抜かれた 唖然とした。
犯人を知っていた(つもりな)ので、油断した。
このドラマはあらゆる先入観を棄てて、見なければならない。
たしかにアリバイに関する前振りはあったから、気付かなくてはならなかったのだが、いやあ恥ずかしい(笑)

 

—いつものようにネタバレ気味である。
脚本としては、(結末は別にして)ジョーン・ヒクソンの前作と違い、バントリー夫人を最後までワトソン役に起用した点が成功している。
このミス・マープルは、マープルという名の「シャーロック・ホームズ」なのだから、ワトソンは必要なのである。
(ちなみに時代設定は1951、2年ごろか。原作より10年ぐらい遅い。)

 

では結末をどう評価するか。
前作は2時間30分のロングバージョンであり正直言って、時間を持て余していた。
今回は逆に、はしょり過ぎていると思ったが、最後にどんでん返しがある。
結末を急ぐことにより、知ったかぶりをしている、私のような視聴者を欺いたのだ。
しかし前作を知らない人には、どう見えるのだろう。
あくまで前作があっての新作だ。

 


今回は男優がすばらしい。

イアン・リチャードソン(ジェファーソン氏役、「野望の階段」の首相役が有名。他に「遠い夜明け」「未来世紀ブラジル」「ラ・マンチャの男」)は英国ドラマファンなら知らない人はいない。内田稔がアフレコをやってることも嬉しい。欲を言えば、もう少し出番が欲しかった。
サイモン・キャロウ(メルチェット大佐役、他に「恋に落ちたシェークスピア」「オペラ座の怪人」「フォー・ウェディング」「アマデウス」)も味のあるベテランである。
ジャック・ダベンポート(ハーパー警視役、他に「リプリー」「パイレーツ・オブ・カリビアン」)は、期待の若手俳優。
女優では
メアリー・ストックリー(ジョージー役)が好みのタイプ。よく見るとイギリスらしい良妻賢母タイプだが、敢えて汚れ役に挑戦している。将来、脇役で伸びそうな存在だ。


どこかのドイツ人が、このドラマはストレートでもコメディでもない、と酷評していた。
しかし僕はこの結末に笑ってしまった。

 

21世紀のミス・マープルには、こういうのもアリなのだ。
おそらく、前作を見たマープル・ファンを騙したかったのだろう。
岸田今日子(マッキーワンの声)が出ているからかもしれないが、谷崎潤一郎の「卍」を思いだした。
今後もレズビアンには注意しよう。

脚本ケビン・エリオット
演出アンディ・ウィルソン

 
書斎の死体 2004 ITV

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書斎の死体 2004 ITV” への2件のフィードバック

  1. 書斎の死体(ミス・マープル)

    シェアブログiceblueに投稿
    アガサ・クリスティー特集「名探偵ポワロ」&「ミス・マープル」
    さて、今回は『書斎の死体』。
    前回の『予告殺人』と違って、謎の魅力だけで視聴者(ないしは読者)の興味を持続させる作品ではないので、キャラクターとか風景などの描写が重要になってくるのですが・・・。
    昨日は20分ほど見たのですが、あまりのつまらなさに頭痛もしてきたので、途中で録画だけして寝ました(-_-)゜zzz…
    で、今、録画したものを何とか見終えましたが・・・。
    正直、今回も『牧師館の殺人』と同じで…

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