川口松太郎原作の雑誌連載小説「愛染かつら」は働く子持ち女性を描いた先駆的作品である。
映画は戦前に松竹、終戦直後に大映で制作されている。
今回は大映二度目の映画化。
戦前松竹の総集編をやや長くした演出になっている。
高石かつ江は津村浩三に娘のことを言えず、駆け落ちに失敗して津村病院の看護婦の職を辞した。
しかし看護婦時代に書き綴った曲を、コロムビアの作詞作曲コンテストに応募して優勝した。
コロムビアでは歌手として認められ、デビューしてヒット曲を重ねる。
津村浩三は娘のことを聞きショックを受けるが、たまらず看護婦とともにコンサートに駆けつける。
なぜ大映は鶴田浩二(当時松竹の二枚目俳優)を起用したのか?
松竹的二枚目が伝統的に大映にはいなかったからだろう。
とはいいつつやはり京マチ子と鶴田浩二の組み合わせは微妙。
田中絹代の線の細さと京マチ子の濃厚さでは,あまりに違う。
岡村文子は1938年の松竹版でも佐藤看護婦長を演じているがここでも同じ役を演じている。
役の年令が近づいたせいか、今回の方が様になってきた。
監督 木村恵吾
脚色 木村恵吾 田辺朝二
原作 川口松太郎
出演
京マチ子
三宅邦子
鶴田浩二
船越英二
月丘千秋
江川宇礼雄
岡村文子(看護婦長)

愛染かつら 1954 大映

投稿ナビゲーション