アンリ・ジョルジュ・クルーゾーが「恐怖の報酬」の次回作として監督したフレンチ・ミステリ映画で、妻と愛人が協力して夫を殺すが、死体が消える話である。

原作はピエール・ボワロートーマス・ナルスジャックの探偵小説で、クルーゾーとG・ジェロミニが脚色した。

主演は、シモーヌ・シニョレヴェラ・クルーゾー、共演はポール・ムーリス、シャルル・ヴァネル、ピエール・ラルケ
白黒映画。

 

あらすじ

資産家であるクリスティナの夫ミシェルは、パリ郊外の私立小学校の校長である。心臓の弱い妻を教師として働かせながら、女教師ニコルとも出来ていた。それどころか外にも女を作ったらしい彼に対して、二人の女はついに許せず、ミシェルの殺人計画を立てた。休暇にニオールにあるニコルの実家に二人で行き、電話でミシェルを呼んだ。

ニコルは、クリスティナに命令してミシェルに睡眠薬を飲ませ、寝込んだところで頭を浴槽につけ窒息させる。翌朝二人は、死体を収納かごに詰め学校まで車で運び、死体をプールに投げ込む。
翌朝から校長の失踪は校内で話題となった。生徒がプールで校長のライターを発見し、プールの水を抜くことになった。しかし、死体はなかった。
不安になったクリスティナは、校長に似た溺死体がセーヌ河に浮んだという新聞記事を見て、死体安置所に行ったが人違いだった。
クリスティナは、ついにフィシェ探偵に全てを告白する。彼は、学校に来て調査をはじめる。モワネという生徒がガラスを割って校長に叱られたと言った。さらに学校で記念撮影をしたら、校長らしい影が写真に写っていた。まるで怪談じみていた・・・。

雑感

60年代から何度も映画やテレビドラマで真似された名作スリラー映画である。だから、現代ではこの映画を見る時点で結末が分かってしまうのが残念。
もしまだわからない人は、クリスティナが病気持ちであることをヒントにして推理してほしい。

ニコル役のシモーヌ・シニョレは50年代のフランス名女優だが、クリスチナ役のヴェラ・クルーゾーは夫アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの作品によく出演していた。彼女は、リオデジャネイロ生まれで、戦前は南米の舞台に出演していた。パリにやって来てアンリ=ジョルジュと出会い結婚する。しかし1960年、夫がブリジット・バルドーと浮気しているのを知って、浴室で心臓発作で死んだが、服毒自殺説もある。でも殺人説はないのだろうか?

 

スタッフ

監督、脚色、台詞  アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
脚色、台詞  ジェローム・ジェロニミ
原作  ピエール・ボワロー、トーマス・ナルスジャック
撮影  アルマン・ティラール
音楽  ジョルジュ・ヴァン・パリス

キャスト

教師ニコル  シモーヌ・シニョレ
校長夫人クリスチナ  ヴェラ・クルーゾー
校長ミシェル  ポール・ムーリス
探偵フィシェ  シャルル・ヴァネル
ドラン氏  ピエール・ラルケ
エルブー夫人  テレーズ・ドルニー
プランティボー  ジャン・ブロシャール
ロワジー医師  ジョルジュ・シャマラ
エルブー氏(ニコルの下宿人)  ノエル・ロックヴェール
ブリドー教授  ジャック・ヴァレンヌ
レイモン氏  ミシェル・セロー
ビストロの主人  ロベール・ダルバン
ホテルの使用人  ジーン・テメルゾン
モワネ少年  イヴ=マリー・モーリン

 

***

クリスティナは、持病の心臓病が悪化して寝こんだ。ニコルは学校を辞めて行った。一人で寝ているクリスティナに足音が聞こえる。彼女は足音を追って浴室に来ると、浴槽に再びミシェルが沈んでいた。それが急に動き出したため、彼女は発作を起して死んでしまった。
これは、ミシェルとニコルが共謀したものだった。しかし、二人は張り込んでいたフィシェに逮捕された。学校は閉校となり、生徒たちは、それぞれ親に連れられ帰っていく。
しかしまだ親が来ないモワネは、クリスティナ夫人に会ったと言い出した。

 

悪魔のような女 Les Diaboliques 1955 仏フィルムソナー製作 シネディ配給 (東和国内配給) ミステリ映画の傑作

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