「孤独になりたい」と願う主婦が周囲に邪魔されて悩み苦しむ姿を描く、スタイリッシュなヌーベルバーグ風女性自立映画。ヴィム・ヴェンダース監督「ゴールキーパーの不安」「まわり道」「ベルリン天使の詩」の脚本を書いた現代作家ペーター・ハントケの映画監督作品。

 

 

あらすじ

 
舞台はパリ。
マリアンネは夫と息子をもつ家庭の主婦だ。しかし彼女はその地位に飽きていた。夫が出張から帰って夫婦でホテルに泊まって久しぶりに夫がハッスルした翌日、彼女は夫に別れを告げる。彼女はフランス語とドイツ語の翻訳を以前やっていたので、まず仕事に復帰することを選ぶ。
彼女は孤独になりたいだけなのに、次から次へと彼女を支援しようとする人が現れて、孤独になりきれずフラストレーションを募らせる。
ときには可愛い息子さえウザいと思ってしまう。
 
ある日、父がマリアンネの元にやって来る。しかし父は詮索せず、その日のうちに帰ってしまう。元夫や仕事仲間や友人とも心地よい距離感を作ることが出来るようになり、ようやく彼女の求めていた孤独を見つけることが出来る。
 

雑感

 
筋書きを見せる映画ではない。カットごとの映像美を魅せる映画だ。そのカットが移ろう女心をあらわしていると思う。
人は小津安二郎を意識していると言うが、あまり監督に意識はなかったと思う。あったとしたら、ヴィム・ヴェンダースの脚本を書いた影響ではないか。
 
主演エディット・クレバーは美人ではない。だから、女性は感情移入しやすい。男性はどうかな。決して悪者扱いされているわけではないので、見るのを怖がる必要はない。
彼女と一緒に見て、時には孤独を求める女性心理を教えてもらうのが良いだろう。

 

スタッフ・キャスト

 
監督・脚本 ペーター・ハントケ
製作 ヴィム・ヴェンダース
撮影 ロビー・ミュラー

 
配役

マリアンネ エディット・クレバー
元夫ブルーノ ブルーノ・ガンツ
息子 ステファン マーカス・ミューライゼン
仕事相手ケルナー ミヒャエル・ロンスデイル
女教師フランツィスカ アンゲラ・ヴィンスラ
俳優 リュディガー・フォーグラー
 

左利きの女 Die Linkshändige Frau 1978 ヴィム・ヴェンダース製作 西ドイツ作品

投稿ナビゲーション