忘れ去られた名画の一つ。監督はフレッド・ジンネマンで、初期の作品。主演はイワン・ヤンドル(外国人初のアカデミー子役賞)、モンゴメリー・クリフト。屋外は分裂前の占領ドイツ、屋内は中立国スイスで撮影。

あらすじ

 
アウシュヴィッツから救出されたチェコ人の子供(仮名ジム)はトラウマで記憶喪失になっていた。一方、その母親は息子の行方を求めて各地を転々としていた。施設から脱走した息子は駐独米軍兵士スティーブと出会い、次第に心を通わせるようになる。帰国が迫ったスティーブは孤児ジムをアメリカに連れ帰ろうと考え、施設に許可をもらいに行くと、何とそこには母親が働いていた。

 

 

 

雑感

 
実話に基づいている上に、チェコ人子役が上手だから、映画「心の旅路」のように泣かせる作品だ。

ただ、1948年にチェコスロバキアの総選挙で共産党が社会党から政権を奪取し、それ以後米ソの冷戦が始まってしまった。皮肉なことだが、アメリカに憧れていたイワン少年が1948年度アカデミー賞授賞式に現れることはなかった。(その後、オスカー像はプラハに送られた) イワンは演技を辞め、成人してラジオ局に勤務し、ベルリンの壁が崩れる前に50歳で亡くなったそうだ。

 

 

 

スタッフ・キャスト

監督 フレッド・ジンネマン
製作 ラザール・ヴェクスラー
脚本 リヒアルト・シュヴァイツァ
脚色 デイヴィッド・ベクスラー 、 ポール・ジャリコ
撮影 エミール・ベルナ
配役
スティーヴンソン  モンゴメリー・クリフト
ジム(カレル・マリク)  イファン・ヤンドル(アカデミー子役賞)
マリク夫人   ヤルミラ・ノヴォトナ
マレイ夫人   アリーン・マクマホン
ジェリー・フィッシャー   ウェンデル・コーリー
フィッシャー夫人    メアリー・パットン
トム・フィッシャー   ウィリアム・ロジャース

山河遥かなり The Search 1948 Präsens Film(スイス)+MGM製作 MGM配給

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