三人娘(美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ)映画第三弾。

第一作の原作者中野実を再び原作に起用した。

舞台は昭和30年過ぎの世田谷・北沢商店街。当時の事は知らなかったが、戦後闇市の名残を強く持っていて、懐かしい感じがした。今は下北沢や笹塚の方がはるかに栄えている。

 

あらすじ

小倉家女中のエリ子(美空ひばり)は、夫人に頼まれ高校の親友で歌手板倉英子の弟子ミチオ(雪村いづみ)を夫人の弟宏(江原達怡)に会わせることになった。宏は高校時代からミチオのストーカーだったのだ。

しかし見合い当日になって、蜂に刺されて宏は病院に担ぎ込まれる。そこでエリ子はミチオに書生京須(宝田明)を宏だと紹介する。

盗まれた財布を警察に届けた縁で、大阪からやって来た行儀見習いのトミ子(江利チエミ)も、京須に好意を抱いている。トミ子は罐詰屋の吉岡(山田真二)と見合いをさせられた。トミ子は気乗りしなかったが、吉岡と母は明るいトミ子に轢かれる。

ミチオが京須とエリ子を見掛けて道路を急に渡った際に、避けようとして本物の宏が自動車事故を起こした。ミチオは騙されていたことにやっと気付くが、そのときは本物の宏を好きになっていて、京須のことなどどうでも良くなっていた。トミ子も吉岡と順調に交際を続けている。一方、小倉家主人の小言を耳に挟み、京須は小倉家を出て行き、それきり行方知れずだ。エリ子は暗い毎日を過ごしていた

エリ子が日本舞踊の発表会で「藤娘」を踊る日、トミ子、吉岡、ミチオ、宏、京須が久しぶりに集まった。かくして、エリ子と京須は互いの気持ちに気付き、トリプルデートと相成った。

 

雑感

この映画の原作者中野実は劇作家であり演劇界(とくに新国劇)の大物らしいが、三人娘映画第一弾「ジャンケン娘」の原作者でもある。当然、この作品は三人娘を意識して書かれた作品だろうが、あまり筆が走らなかったようだ。脚本は単純な勘違いプロットで、恋愛関係をややこしくしただけ。しかもミュージカル仕立ての映画だから、原作者がケチを付けられる内容ではない。

すべてに付けて、前二作と比較すると中途半端だった。東宝独自のシネマスコープだから、見栄えを考えて撮影されたのだろうが、今となってはそれも大したことない。

ミュージカルシーンでも美空ひばりだけが洋楽ではなく、持ち歌「長崎の蝶々さん」を歌っていたが、PVみたいになっていて、「ジャンケン娘」の時代の若々しさがなくなった。雪村いづみだけが、1957年当時日劇ウェスタン・カーニバルなどで流行っていたロックンロールに挑戦して気勢を上げていた。

この後、三人娘の次回作「三人よれば」まで7年も待った。江利も雪村も単独で映画に主演しているのだから、美空ひばりの相手役を気安く引き受けられなかったのだろう。

 

 

スタッフ

監督 杉江敏男
製作 杉原貞雄
原作 中野実
脚色 井手俊郎
撮影 完倉泰一
音楽 神津善行

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配役

エリ子 美空ひばり
トミ子 江利チエミ
ミチオ 雪村いづみ
京須 宝田明
吉岡 山田真二
松井宏 江原達怡

岡田浜子 英百合子
岡田妙子 若山セツ子

板倉章太 若原雅夫
板倉英子 草笛光子

小倉三千夫 伊豆肇
小倉葉子 水の也清美

吉岡梅子 浪花千栄子

 

 

大当り三色娘 1957 東宝製作・配給 – 東宝スコープ第一弾映画

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