池波正太郎原作の「鬼平犯科帳」のオーディオブックは何種類か出ているので気がつかなかったが、この株式会社デラのシリーズは各巻1620円で全10巻もある。

今年(2016年)で中村吉右衛門のテレビドラマ「鬼平犯科帳」は終了するそうだが、来年からアニメ化も決定されている。代々名だたる俳優が演じて来た芝居だけにアニメになるのは不安もあるが、そこは監督や脚本家もよく考えているだろう。

そこで前もってこのオーディオブックを聴いて復習してみようと思った。
まず巨大な鯉が出てきて驚かせる話「大川の隠居」を選んだ。殺生もなく爽快感の残る佳い作品だ。

 

 

あらすじ:

ある夜、鬼平が病に臥せっていると盗賊が侵入し鬼平の顔を覗き込んだうえに父親の形見である銀ギセルを盗んだ。
回復後、旧友岸井とともに支柱見回りに出た鬼平は船宿加賀屋に入り、舟で大川に出る。岸井が用事で舟を離れると船頭は一服するがその手にはあの銀ギセルが・・・。

役宅へ戻り早速粂八を呼び出し船頭の正体を探らせると、奇しくも粂八の盗賊時代の兄貴分友蔵だった。友蔵を必死にかばう粂八を見て、鬼平は一計を案じる。

 

 

感想:

ナレーターの野間修平は、フジテレビの「3時のあなた」で高峰三枝子の相方を務めていたからよく覚えている。この人は報道畑でも活躍したので定年までアナウンサーを続けられた。定年後はフリーアナウンサーの傍ら朗読をしているようだ。その声はおばさんに人気のあった現役時代よりずっと渋く重厚になっていた。

池波正太郎文学はセリフよりナレーション部分を多めに描くため、野間の「朗読」も十分に楽しむことができた。

 

しかし野間の写真を見るとアナウンサー時代と違って、もうすっかり禿げ上がっている。現役末期もズラだったのかな。

 

台詞の部分はWikipediaにも載っていない声優さんが演じている。舞台俳優さんか。しかしアイドル声優よりはずっと芝居が上手だ。
一流声優さんを使った場合よりも制作コストも安く抑えてある。故にお得感がある。(株)デラは、なかなかのグッドジョブである。

大川の隠居(語り芝居・鬼平犯科帳) 2010 デラ

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