エリック・ロメール監督の四季シリーズ第三弾の「夏物語」。
「海辺のポーリーヌ」から13年、あのアマンダ・ラングレが大人の女になって帰ってきた(笑)

数学修士を取ってコンピュータ会社に就職するか、好きなギターで生活しているか、悩むガスパールは、ブルゴーニュの海辺の町へ卒業旅行にやってきた。
そこで民族学のフィールドワーカーであるマルゴ(Aラングレ)と知り合う。
ちょっと内気なガスパールだったが、知的で行動的な彼女に強い刺激を受けていく。
一方、マルゴも恋人と遠く離れて暮らしており、繊細で芸術家肌のガスパールの存在に心のときめきを覚える。
次第に接近する二人だが、マルゴは友達の一線を守ろうとする。
そしてセクシーな銀行員ソレーヌを彼に紹介する。
しかし、彼らが仲良くなると気に入らないマルゴ。
さらにガスパールの気ままな恋人レナもバカンスにやってきたから、さあ大変。
四角関係で二進も三進も行かなくなった、ガスパールの究極の選択は?

アマンダは、実にチャーミングになった。
小柄でちょっと石野陽子に似てるかもしれないが、何しろ歩き方がチャーミングだ。
ライバル役の他の二人とは大違い。歩き方で知性とか女の格を表現している。
彼女はガスパールと友達の一線を守っているとは言え、日本人のイメージする「お友達」とは全然違う。
何か最後の一線を越えそうで越えない関係をお互いに楽しんでるって感じ。
自分の自制心で遊んでるって感じかな。やはりフランス人は凄い(笑)

 

ロメール監督はハンディカメラ等のダイナミックな撮影が特徴だが、今回もガスパールとマルゴをひたすら「歩かせて」喋らせて、それを追いかけて撮るというスタイル。
歩きの美学を感じた。
ただカメラはむらがあってきれいに撮れているシーンもあれば、見にくいシーンもある。
風景を美しく撮るのはさほど上手いとは思わなかったが、女性のちょっとした表情の変化を抽出するにはぴったりの手法だ。

 

ロメール監督では、さらに台詞回しが巧みだ。
今回の女性陣がすべてわがままで、しかも男で痛い目に遭ったことがあり警戒心が強い。
そこでガスパールに対して、一回のデートの中でも態度をころころと変える。
その辺を畳みかけるような台詞、ほとんど間を取らない台詞回しで表現している。

 
またモンローウォークならぬアマンダ・ウォークには参った(笑)。

夏物語 Conte d’Ete (1996, France)

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