劇場版は、2016年夏期に日本のテレビで放送された日本・台湾共同制作の「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」の前日譚と後日譚と言うことだが、第二期の予告編まで合わせた豪華なものだった。

 

あらすじ

前日譚の方は「殺無生は何故凜雪鴉を殺そうとするか」という謎に答える。殺無生は最初、凜雪鴉の用心棒だった。しかし凜は殺がうざくなって、だましてやろうと思う。そこで狩雲霄を使い、殺の育ての親であり剣の師匠である鐵笛仙と仲違いさせて殺し合いをさせる。殺は鐵笛仙を倒してから始めて、凜雪鴉の陰謀に気付き、それ以来凜を追い求めている。

後日譚は、蔑天骸を倒して有名人になった殤不患は、自分に化けてただ酒を飲む男・偽殤不患と知り合いになる。ところが偽物が玄鬼衆の生き残りに襲われる。仕方なく殤不患は、助けてやるが身元がばれてしまう。実は偽殤不患は玄鬼衆の脱走兵だったが、道中で殤不患の物語を語って聞かせる男と出会って殤不患の情報を得たのだ。その男とは・・・。

そして第二期の前日譚である。西幽で殤不患と魔剣目録を狙っていた禍世螟蝗(カセイメイコウ)、警察官で殤を追う嘯狂狷(ショウキケン)が東離での殤不患の活躍を聞き知り、はるばる東離まで追ってくる。その話を聞き、西幽での盟友・浪巫謠(ロウフヨウ)も殤を助けんとして立ち上がる。

 

 

雑感

前日譚では殺無生が可哀想になった。あれじゃ凜雪鴉の方がよほど人でなしだ。

後日譚は殤不患が玄鬼衆の前に現れてすぐ終わると思ったが、玄鬼衆もさるもので、もう少しの所で蔑天骸の仇を討てるところまで殤を追い詰めた。そして最後、朗々と殤不患を語る凜雪鴉の後から急に殤が現れたときに、凜の額を冷汗が流れる演出は面白かった。

全体的には少しBGMが足りなかったと思う。その分、TM Revolution が中国語(台湾語?)で歌う主題歌は格好良かった。

第二期のテレビ放送は2018年秋から始まるが、先ずこの映画作品を観て予習しなければならない。どうやら殤不患、凜雪鴉のツートップは不滅なようだ。残念ながら生き延びた丹斐ちゃん達は登場しないようだ。

武侠ものならヒーロー殤だけで良いが、この物語はアンチヒーロー凜を伴ったバディーものなのだ。しかもアンチヒーローの原型はルパン三世なのだ。台湾人は武侠ものとしてしか観ないから平均点を付けてしまうが、日本人には従って非常に新鮮かつ親しみやすく見える。第二期も期待大である。

第一期の脚本は虚淵本来のものでなかった。台湾側に気を遣っているようだった。しかし実績を上げて、映画から虚淵節が勝ってきたようだ。キャラクターデザインでもコミカルなキャラは日本に合わせているようで、NHK人形劇を観ているような気になった。

 

スタッフ・キャスト

総監督 – 黄強華
原案・脚本・総監修  虚淵玄
操演・撮影   霹靂社
キャラクター・デザイン   ニトロプラス
造形アドバイザー  グッドスマイルカンパニー
音楽  澤野弘之
エグゼクティブプロデューサー   黄亮勛、でじたろう、安藝貴範

 

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声の出演
凜雪鴉 鳥海浩輔
殤不患 諏訪部順一
狩雲霄 小山力也
殺無生 檜山修之
殘凶 安本洋喜
獵魅 戸松遥
浪巫謠 西川貴教
聆牙 小西克幸
禍世螟蝗 速水奨
蠍瓔珞 高垣彩陽
嘯狂狷 新垣樽助

 

劇場版「Thunderbolt Fantasy 生死一劍」 2017 ニトロプラス+グッドスマイル+台湾・霹靂社制作 ライヴ・ビューイング・ジャパン配給

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