片岡千恵蔵地獄シリーズ第三弾。今回は手品師でありながら脱獄犯になって、仲間の息子の無罪を証明する。
監督は前作に引き続き小沢茂弘、脚本は松浦健郎。音楽は渡辺宙明さんが担当。
主演は片岡千恵蔵、共演は進藤英太郎、中村嘉葎雄、鶴田浩二、高倉健

あらすじ

北海道の刑務所に収監されている桁外れの馬吉とファンキー小僧は北海道の何度も脱出を試みるが、その度に捕まってしまう。そこへバッファロー・ゲンと名乗る手品師が収監されてきた。三年前馬吉は、横浜のサンライト工業社長毒川が立花組組長を射殺した時に、身代わりになって刑を受けた。その代わり息子一郎が真っ当に生きていくように、毒川に託した。しかし刑務所で馬吉は一郎が殺人犯として捕えられたことを知ったため、ファンキー小僧と脱獄を計画するが失敗し続けていたのだ。ゲンは馬吉に力を貸すことを約束して華麗に脱獄した。
三人は日本アルプスの山小屋に身を隠していた。ファンキー小僧は山小屋の娘道子と想いを寄せ合った。山小屋に早射ちサブと名乗る男が現れた。ゲンがサブのポケットからスリ取った中に警察手帳があったので、山小屋で女の子がサブに黄色い声を上げている隙にトンズラした。
横浜のクラブ“赤い城”では香港人手品師王竜と秀玉のショーが人気を呼んでいた。そのステージへ乱入したのは何と手品師のゲンだった。王竜は突然のことに驚くが、ゲンの挑戦を受けて見事喝采を受ける。一方、ゲンは何もないところから馬吉とファンキーを出す。これには、毒川も流石に驚いた。香港マフィアの一人李大業と組んで麻薬を扱っている毒川は三人を匿った。
立花組は息子丈次が後を継ぎ、ダイオードの石松と共に組を再建していた。丈次の妹稀実子と知り合った縁で、早射ちサブは立花組に草鞋を脱いでいた。
馬吉の息子を殺人犯に仕立て上げたのは李大業だった。そこで立花組長殺害の真犯人が毒川であることを丈次に教えて、毒川を切り捨てる。李大業の麻薬組織を視察すべく香港本部からやって来た全権のパーティーが李の大広間で開かれたが、李、毒川、丈次らが打ち合いを始める。全権はなんと手品師王竜だった。王竜の手にはバッファロー・ゲンが警視庁警部壇原武夫である証拠の写真があった。しかし壇原警部は馬吉とファンキーを味方につけて、全く悪びれず王竜や李大業の悪事を大いに語った。さらに丈二はサブを刑事と知って身内に入れており、初めから李を告発する目的だった。サブにより警官隊も急来し、香港マフィアは一網打尽となった。馬吉は釈放され、残りの刑期を刑務所で過ごすことになったファンキーはサブ刑事の情けでアルプスの山小屋に立ち寄らせてもらい、道子に待っていてくれと語る。

雑感

今回の片岡千恵蔵の役は脱獄囚、しかも手品師。片岡千恵蔵主演による、二階堂黎人の「地獄の奇術師」の映画化を見たかった。と言っても二階堂がデビューした頃は片岡千恵蔵はもうなくなっていた。
この手品が合成撮影なのは丸わかりだ。東映は特撮が苦手だから仕方がない。でも奇想天外の話としては楽しめた。
女優はあまり目立たない。男臭い脚本だ。
今回も千恵蔵と進藤英太郎の友情話の側面がある。

しかしちゃっかり鶴田浩二高倉健が組んでいたりと、世代交代の波が近付いているのも感ずる。(1963年鶴田浩二主演「人生劇場飛車角」大ヒットで任侠映画ブーム始まる)
チャッカリと言えば、鶴田浩二はチャッカリ佐久間良子と付き合っていた。

スタッフ

企画 玉木潤一郎 、 植木照男
脚本 松浦健郎
監督 小沢茂弘
撮影 西川庄衛
音楽 渡辺宙明

キャスト

 
バッファロー・ゲン  片岡千恵蔵
桁外れの馬吉  進藤英太郎
ファンキー小僧 中村嘉葎雄
早射ちサブ  鶴田浩二

毒川社長 柳永二郎
立花丈次 高倉健
立花稀美子  入江千恵子
ダイオードの石松 江原真二郎
馬吉の息子一郎  水木襄
牛小屋の娘弘子  山東昭子
浜子  小宮光江
山小屋の娘道子 佐久間良子
李大業 山村聡
王竜  伊藤雄之助
秀玉  久保菜穂子

 

俺は地獄の手品師だ 1961.1 東映東京製作 東映配給

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