監督:山中貞雄(当時29歳)
脚本:三村伸太朗
撮影:三村明
美術:岩田専太朗
原作:河竹黙阿弥 歌舞伎「梅雨小袖昔八丈」
出演:
中村翫右衛門 (髪結新三)
河原崎長十郎 (海野又十郎)
助高屋助蔵 (家主長兵衛)
霧立のぼる(白子屋の娘お駒)
加東大介 (猪助)
戦死した山中貞雄監督の遺作。
中村梅若の祖父・中村翫右衛門(前進座)と河原崎長十郎(前進座、毛沢東を支持したため、戦後日共から除名)がW主演している。
江戸の長屋で首つり自殺が発生。
世知辛い世の中には厭世観が充満している。
髪結いの新三は大家に取り入って、お弔いの酒を出してもらい、長屋の一同大騒ぎ。
浪人の海野又十郎は、知人に就職を掛け合うが、取り合ってもらえず、
新三も賭場を開いてやくざの大親分ににらまれる。
何をやってもうまくいかない二人だった。
それが、ある雨の夜、ひょんなことから大きなチャンスをつかむ。


最初、落語のようなお笑いムードで始まったのが、
最後は意外な結末で、ほろ苦映画になってしまう。
さらに最初のシーンとラストシーンが、うまくリンクしている。
今ではハリウッド映画でも珍しくないが、1937年当時としては世界的にも画期的なエンディングだった。
編集時点では監督の下に召集令状は来ていなかった。
それでも「戦争に行けば、必ずおれは死ぬ」と、予想はしていたんだろう。
だから、こんな一世一代の傑作を生み出したのだ。

人情紙風船 1937 PCL

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