石坂洋次郎が青い山脈のような一連の学園物に飽きて、昭和30年代に入り、新たな男女関係に新境地を開いた。
男が妻と離婚して妾とも別れても、健全な娘が妾の弟ともに最後まで希望を捨てずにいるのは、石原洋次郎ならではだ。
悪く言えば、脳天気かも知れない。
娘は父に愛人がいることを友人から聞かされ憤然として、妾宅に乗り込む。
しかし愛人とも子の殊勝な態度と父ととも子の間に生まれた幼い弟の姿に怒りの矛先を失う。
そしてとも子の弟が散歩に連れて出た弟をいたずら半分の気持ちでさらってしまう。
石原裕次郎主演ではなく、あくまで芦川いずみ主演作品。
この頃の二人はお似合いのカップルである。
彼女の魅力を脇に控えた裕次郎が見事に引き立てている。
裕次郎がデビュー間無しの頃だったので、こういうことも起きた。
しかしその後、裕次郎が主演を張るようになり、二人のパワーバランスがくずれてしまう。
カラー時代は浅丘ルリ子の方がお似合いだと思う。
監督:田坂具隆
脚本:沢村勉
原作:石坂洋次郎
撮影:伊佐山三郎
音楽:斎藤一郎
出演:
芦川いづみ(桑原ゆみ子)
石原裕次郎(相沢宗雄)
新珠三千代(相沢とも子)
山根寿子(桑原たま子)
宇野重吉(桑原次郎)
中原早苗(金田さち子)

乳母車 1956 日活

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