プレーヤーを巡る環境が整ったところで、MCカートリッジ(Ortofon SPU、MC-Jubilee,Denon DL-103、DL-102、Fiderality Research FR-1Mk2など)とMCトランス(ローインピーダンスはOrtofon ST-80、ミドル:Audiotechnica AT3000T、ハイ:FR XF-1 Type H)をヤフオクとハードオフでかき集めた。
 

次に必要なのはフォノイコライザ付きのプリアンプである。新しい外付けフォノイコライザでも良いじゃないかと言われるが、今回は30年以上昔の貴重な音源が中心になるので昔のフォノイコで楽しみたい。昔はフォノイコが独立しているのはめずらしかった。本格的フォノイコが発売されたのは、CDが登場してライン専用のコントロールアンプが発売されてからである。
 

いろいろ探したが、クラシックもジャズも楽しめるアンプがなかなか無い。探し疲れて朦朧としてきたので、少しぐらい高くても所有欲をくすぐるアンプにしようと決めた。ヤマハ、ナカミチが当時は人気だったが、今となっては聞き飽きた音だ。国産機に限れば山水かアキュフェーズが候補になろうが、プリに関わらずパワーアンプ並に重い。
 

そこで海外に目を向けた。欧州だとスイスのアンプメーカー、Goldmund社が昔から中身カスカスの軽いプリを出しているが音も軽いのでダメ。英国QUAD44の中古が良く出回っているがポップス指向のためパス。ほかの英国機は試してみたが逆に地味だった。
 

となると米国しかない。年代的に70年代の機械が良いが、やはりクラシック、ジャズ、ポップス、ロック何でもありというプリは少ない。その中でもオールド・レビンソンと言われる70年代に発売されたMark Levinson初期モデルに注目した。JC-2, ML-1, LNP-2が初期レビンソンに属するプリだが、とくにLNP-2はいまだに100諭吉で取引される高機能プリだ。マーク・レビンソン自身はプロデューサー、経営者であって、JC-2は狂気のエンジニア、ジョン・カールが設計し、LNP-2はディック・バウエンがモジュール設計した。ML-1はJC-2とLNP-2をもとにしているが、中期Mark Levinsonを引っ張った天才エンジニア、トム・コランジェロが参加している。聞いてみると自分に合うのはML-1だった。Mark Levinsonのプリはマドリガル(後期)No.26のラインアンプを持っているが、これはやや大げさな演出性を感じる。ML-1はその素っ気なさ、素直さがアナログに合うと思った。アナログは聴く側が音質をカートリッジやトランスなどで好きなように演出できるから敢えてプリが演出する必要は無い。音像再生が得意で若干ジャズ向けだが、ボーカルも十分聴ける。
 

そこでMark Levinsonを扱う中古業者に網を張っていたが、なかなか良い機械が出てこない。ヤフオクにも出るけれど、コンデンサを交換しているかさえわからないのに価格だけは20諭吉以上する。オーバーホールしなければいけない場合、相当な追加料金を支払う必要がある。三台のML-1と出会ったがラインアンプだったり、MC専用機だったり、MMモデルであったが委託販売だったので高値が付いていたりで良縁に恵まれなかった。MC専用機が嫌だったのは、MMカートリッジもいくつか持っているし、MCトランスも持っていたから。その後、ようやく有名な良心的修理業者でコンデンサを交換したMMモデルとネットで巡り会えた。価格も良心的だ。写真で外観しか見られなかったので、しつこく言って内部写真を撮影してもらった。

 

左に二つ並んでるモジュールがジョン・カールが設計してA3モジュールと言われるMMフォノアンプで、その隣の二つがラインモジュール、右端が電源フィルターモジュールである。プリ本体は並行輸入されたものらしく正規輸入品ではない。またラインモジュールはバウエン型モジュールを使っている。なお電源部は別筐体だが、オリジナルではなく後に発売されたML-6のものを流用している。したがってバウエン、カール、コランジェロの設計が揃い踏みしたシステムになっている。
 

良心的価格とは言っても決して安くはない。しかし持株が高く売れたこともあり、清水の舞台から飛び降りる気持ちで買ってしまった。ついでに10諭吉で電池式のJC-1DC(ジョン・カール設計)というMCヘッドアンプも買った。これでMMとMCどちらでも使える70年代のMark Levinson 純正システムが出来た。

 

 

 

レコードの復活(2)

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