「マイ・ベストフレンズ・ウェディング」のPJ.ホーガン監督がオーストラリアで大ヒットさせてアメリカへ進出するきっかけとなった作品。結婚願望に取りつかれた女性が巻き起こす騒動をコミカルに描いている。オーストラリア・アカデミー作品賞、主演女優賞、助演女優賞を獲得した。

 

 

ミュリエルトニ・コレット)は、定職も付かず、だらしないデブ。90年代の今でも、アバの曲をラジカセで聞いているときが、一番落ち着く。結婚に憧れているが、相手などいるわけがない。弟も妹もやはり家でゴロゴロするだけのプータローだ。彼女の父は地方議会の実力者だが、子供達はどれもこれも役立たずばかりと愚痴をこぼしている。
ミュリエルは結婚式に招かれたが着ていく服が無く、万引きして捕まる。また父の銀行口座から金を無断で引き出して、リゾートに遊びに行く。挙げ句の果てに友人ロンダ(レイチェル・グリフィス)を頼ってシドニーに逃げる。

シドニーで派手なロンダと暮らすうちに、ミュリエルは少しずつ洗練されていく。彼女はついにデートに誘われて、男性に迫られたりする。
しかしある日、ロンダが癌に冒されていることがわかり、車椅子生活をやむなくされる。
しかしミュリエルは相変わらずの結婚願望で、ウェディングドレスを着込んでは、写真を撮ってアルバムに飾る。南アフリカから亡命した水泳選手が豪州国籍を取得するため、結婚相手を捜しているという記事が新聞に載った。ミュリエルは応募して見事合格。愛のない結婚だったが、彼女はこれで良いのだと自分に言い聞かせる。ロンダは、そんなミュリエルを見限り、田舎へ帰っていく。

 

小中学生の頃、アバの曲を初めて聴いたのは、オーストラリア国営放送の日本語放送だった。
アバは、アメリカや日本よりオーストラリアで先にブレークしていて、毎週ベストテンのトップを走っていた。

おそらく、この主人公たちも僕ぐらいの年齢という設定なのだろう。主演の二人がアバに扮して歌ったり(笑)全編、アバの曲が延々と掛かっている。この作品はこれで豪州アカデミー賞の最優秀音響賞も受賞している。

主演のトニ・コレットはこの映画で、20キロぐらい太って役作りしたそうだ。この後アメリカに呼ばれて、映画「シックスセンス」で母親役として出演してブレークする。
一方、友人役のレイチェル・グリフィスは、映画「マイ・ベストフレンズ・ウェディング」で間抜けな従姉妹役をやったり、豪州映画の感動作「エイミー」(カンヌ映画祭ジュニアグランプリ)に主演したり、英国映画「もう一人のジャクリーヌ・デュプレ」でジャクリーヌの姉を演じたりと性格俳優として大活躍を見せている。
世界にオーストラリアの底力を見せつけた映画。一見の価値あり。

ミュリエルの結婚 Muriel’s Wedding (1994, オーストラリア)

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