ギリシャの小島を舞台にして、古いホテルの経営者が女手一つで育てた娘の結婚式に三人の父親候補が突然現れる喜劇。そこにABBAのナンバーを散りばめたゴージャスなミュージカルだ。
主演はメリル・ストリープは当時59歳だったが、未だ衰えない歌唱力を披露している。
Synopsis
ソフィアはWEBデザイナーのスカイと明日結婚する。彼女は母ドナの日記を隠れて読んで、まだ見ぬ三人の男性のうちの誰かが父親だと直観したため、サム、ビル、ハリーに結婚式の招待状を送た。しかし自分こそが父親だから花嫁のエスコート役がやりたいと三人とも申し出して、式は混乱してしまう。
あらすじは簡単なもので、吉本新喜劇並みに内容はない。結婚式前の馬鹿騒ぎをしているだけだ。
それでも興行収入が製作費用の12倍に至った事実を思い知るべきだ。製作総指揮(トム・ハンクスも含まれる)の大勝利だ。ミュージカルに小難しい理屈は全くいらない。メロディと歌詞があって、次にスクリプトがある。いかに歌を聴かせるか、そこだけが重要なのだから、バカボンのパパではないが、「これでいいのだ!」
メリル・ストリープは吹き替えかと思うほど、大熱演だった。
娘役のアマンダ・サイフリッドも吹き替えなしの熱唱だった。現代風のミュージカル発声(じようなこと) だったのが残念。現代の発声はためを効かせすぎて口説い。日本的に言えばこぶしを聴かせるのと同じようなものだ。
やはりミュージカルの発声法で一番良いのは、ダイアナ・ロスとバーバラ・ストライサンドの時代までだ。

英国人ジュリー・ウォルターズは「リトル・ダンサー」での助演賞を見ているが、今回は独身主義の友人ロージー役で助演していた。思ったより小柄だったが、尻を追いかけ回していたステラン・スカッシュゴードが大きすぎたのだろう。
元三人娘の最後のクリンステイン・バランスキーは、もっともノリが良かった。ブロードウェイで助演ぐらいなら出られそうなリズム感だった。
女性陣と比して、中年男性陣はかなり音楽的に弱い。コリン・ファースは多少歌えるようだが、ピアーズ・ブロズナンはとくにメリル・ストリープの相手役だから、たとえ下手でもいいから、もっと自信を持って歌って欲しかった。編集してもあの程度ということは、かなり下手だったのだろう。
でもこの映画は小父さん、小母さんに劇場に戻ってきてもらい、ミュージカル初演(1999)時点から20年前の思い出に浸って貰えばいいのだ。我々の世代と同じかそれより上の世代を対象にしているのだから、その人達を乗せればいいのだ。もちろんブロードウェイの連中はもの凄い歌声を披露したが。
どうしても真面目なABBA映画を見たければオーストラリア映画「ミュリエルの結婚」を見てろ。
それからギリシャである理由はどこにもない。コルシカ島でも良かった。

監督 フィリダ・ロイド (ブロードウェイ版の演出家でもある)
製作 ジュディ・クレーマー 、 ゲイリー・ゴーツマン
製作総指揮 ベニー・アンダーソン 、 ビョルン・ウルヴァース 、 リタ・ウィルソントム・ハンクス 、 マーク・ハッファム
原案 ジュディ・クレーマー
オリジナル脚本 キャサリン・ジョンソン
脚色 キャサリン・ジョンソン
衣装デザイン アン・ロス
音楽監督 マーティン・ロウ
音楽監修 ベッキー・ベンサム
原曲 ABBA
振り付け アンソニー・ヴァン・ラースト
出演
メリル・ストリープ (ドナ)
アマンダ・サイフリッド (ソフィ)
ピアース・ブロスナン (サム)  ゴールデンラズベリー賞最低助演男優賞受賞
コリン・ファース (ハリー)
ステラン・スカルスガルド (ビル)
ジュリー・ウォルターズ (ロージー)
クリスティーン・バランスキー (ターニャ)
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マンマ・ミーア 2008  イギリス+アメリカ+スウェーデン  ABBAのナンバーで彩った南国ミュージカル

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