H.G.ウェルズが1895年に発表した名作SF小説の映画化。SF小説の父と呼ばれるウェルズは時間旅行(タイムトラベル)に深い関心を寄せていた。
監督はハンガリー出身で人形アニメーション映画パペトゥーンの発明で戦前のアカデミー特別賞を受賞したジョージ・パル。主演はロッド・テイラー。この映画スタッフはアカデミー特殊効果賞を受賞した。

あらすじ

1899年から1900年にかけてのロンドン。年末に発明家ジョージ(ロッド・テイラー)は友人を招き晩餐を開き、小型のタイム・マシンを披露した。これは時間を飛んで、過去と未来に自由に行き来する機械であった。しかし手品だと言って友人は馬鹿にする。
客を帰して一人になったジョージは実験室に入った。実はそこに完成した単座タイムマシンがあった。彼は友人を見返さんとタイム・マシンに乗りこみ、レバーを引き未来へ飛ぶ。
1917年で途中下車すると第一次世界大戦の真っ最中だった。さらに1966年に飛ぶとロンドンは原爆攻撃をうけていた。そこで放射能の消えた紀元80万年まで逃げ出した。

その世界は実に穏やかな気候で、イーロイという未来人種が楽しそうに遊んでいた。イーロイは未開人のようで文盲だが英語を話した。さらに仲間の危機に全く無関心だった。ジョージは、偶然ウィーナ(イヴェット・ミミュー)という少女が溺れるところを助けて、その可憐さに恋してしまう。
ジョージはイーロイが被食者で、核戦争の影響を恐れ地下に潜り込んだまま地上に出ようとはしないモーロック族に食べられていることを知る。
やがて空襲警報の音がスピーカーから鳴ると、イーロイは条件反射で地下へ行き、地底人モーロックの食事になるのだった。
モーロックが火を恐れることを知ったジョージは、イーロイを鼓舞して彼らに抵抗することを教えた。それでもモーロックに火でつつまれた洞窟に閉じ込められたジョージは、命からがらようやくタイム・マシンに乗って、1900年1月5日に戻った。

自宅では、5日前と同じメンバーが晩餐に集まっていた。やはり一同はジョージの未来の話を信じようとしなかった。ジョージは客たちに別れを告げて、タイム・マシンにのって未来の世界に旅立ち二度と戻らなかった。

雑感

今となってはテンプレだが、まさに「タイムマシン」のプロットこそがH.G.ウェルズの世紀の大発明だった。このアイデアから筒井康隆「タイムトラベラー」が生まれて、日本のラノベ文化が始まった。
また、ジョージ・パル監督は得意の人形アニメと特殊効果班の低速度撮影を組み合わせて、時間跳躍を映像化することに成功した。

原作は19世紀の小説だから、20世紀に起きた世界大戦は映画における脚色である。
しかし社会主義傾向のあったウェルズ自身は、帝国主義の激化により人類が進化するのではなく退化する方向を考えていたようだ。
今では80万年後も地球上に人類が生き残っているなんて考える人はいないが。

スタッフ

監督 ジョージ・パル
製作 ジョージ・パル
原作 H・G・ウェルズ
脚本 デイヴィッド・ダンカン
撮影 ポール・C・ヴォーゲル
特殊効果 ジーン・ウォーレン、 ジョージ・トマシーニ

 

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配役

ジョージ ロッド・テイラー
友人フィルビー アラン・ヤング
未来人ウィーナ  イヴェット・ミミュー

タイム・マシン〜80万年後の世界へ 1960 MGM

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