前半の政治劇(セリフ劇)が圧倒的。ゴジラ東京上陸という前例のない事態にトップダウンでは物事を決められない日本のポリティクスに絶望できる。
進化速度が速いゴジラに対して自衛隊最初の一斉攻撃が完全に失敗し首相を失ってから、国内の雰囲気が全く変わる。
核使用の外圧がのしかかる中、若手政治家と嫌われ者官僚のチームは、ゴジラ研究の第一人者牧博士が遺した対ゴジラ血液凝固剤の使用とその効果にかける。

前半はゴジラ映画でなかったが楽しく見た。ただ内容に映像は不要でラジオドラマで十分である。石原さとみは滑舌が悪い。後半は随分ゴジラ映画っぽくなったが、ゴジラの生理学的性質や血液凝固剤の理屈付けが難しくてついていけず。
造形については、ゴジラの目が嫌だった。ジロリと睨みを利かす目が好きだったのだ。
野村萬斎のゴジラ役起用についても疑問を覚える。まったくもって歩いているのは野村萬斎だった、個性が強すぎる。専門のスーツアクターにやらせるべきだった。

この映画はゴジラでなければ、新ゴジラでも真ゴジラでもない。ただのシン・ゴジラだ。

庵野総監督(脚本)は実写の特撮部分に口を挟んだのだろうか。もちろん樋口監督の分担だったのだろうが、はっきり言って明るい画面で映すのは無理だ。夜行性にした方が誤魔化しが利いた。山﨑貴監督やアメリカVFXと比べるとかなりの格差を感ずる。

それより早く映画「シン・ヱヴァンゲリヲン」を作るのです。

シン・ゴジラ 2016 東宝

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