アメリカ人に核戦争の恐怖に駆られた1960年代、愛人を失った同性愛の学者は今日自殺しようと心に決めた。それからの一日を描いた同性愛映画
トム・フォードの初監督作。
主演コリン・ファース
共演ジュリアン・ムーア、マシュー・グッド

あらすじ

冷戦真っ只中の1962年ロサンゼルス。
三流大学教授ジョージは、同性愛の恋人ジム(建築家)を突然の事故で失う。ジムはたまたまロスを離れて親元に滞在していたが、雪道で交通事故を起こしたのだ。彼の両親はジョージを嫌っていたが、従兄弟が代わりに教えてくれた。葬儀は親族だけで執り行われて、ジョージは参列を許されなかった。
その後ジョージは、8ヶ月間鬱状態にあった。ついに自殺を決意したジョージは、異性の友人チャーリーに電話を掛けて、今夜訪ねると約束する。彼はチャーリーと昔ロンドンにいた頃、男女の関係にあった。

ジョージは、車で大学に出かける。文学の講義は、今日も面白くなかった。生徒のケニー・ポッターがジョージにドラッグについて話しかける。
ジョージは、大学のゴミを処分して車に乗り込んで帰ろうとする。そこへまたポッターがいつか一緒に飲みましょうと提案する。

ジョージは銀行に行って、貸金庫から保険証書や財産を引き出す。そこでお隣さんの奥さんに今夜のホームパーティーに誘われるが、ジョージはチャーリーとの先約があると言って断る。そして、自殺するための弾丸を購入しに行く。

ジンを買った時、カルロスという俳優志望のイケメン男性とぶつかってジンを割ってしまう。それがきっかけとなってタバコを一緒に吸うことになる。お互いにスペイン語が話せるから、会話が盛り上がる。カルロスは男娼のアルバイトをしているようだ。二人は酒屋の前で別れる。

家に帰ってジョージは、自殺するつもりだったが、気分が乗らず、チャーリーの家に向かう。一緒にお酒を飲みながら、お互いの過去の話しをする。
チャーリーは、ジョージはジムと本物の関係ではなかったと言い出し、ジョージはひどく怒り、一挙に雰囲気が悪くなる。
チャーリーはジョージと結婚したかったが、彼がゲイ専になってしまったことを残念に思う。

チャーリーと別れ、ジョージは生徒のポッターと三度出会う。彼らは酒場から出て、二人は夜の海で盛り上がる。ジョージが怪我をしたので、ポッターは手当をするためにジョージの自宅に行く。そのときジョージの薬品の中から、ジムのヌード写真を見つけてしまう・・・。

 

雑感

核戦争の恐怖と、当時の同性愛者の人目を憚る状況がジョージ教授を自殺まで追い込んだ。結果として自殺ではなく病死だが、8ヶ月もの心労が肉体を蝕んでいたのだ。

コリン・ファースの役はソフトなホモが多いが、そのコリン・ファースが未だに英国の大物俳優でいられるのが不思議。それぐらい、LGBTに対する考え方が進んでいるのだろう。

ジュリアン・ムーアは若い頃脱ぎっぷりの良い女優と思っていたが、歳を取るに従って良い女優に成長した。カトリーヌ・ドヌーブの若い頃かと思ってしまった。

映像は残念ながら汚かった。

スタッフ

監督、脚本、製作トム・フォード
原作クリストファー・イシャーウッド
脚本デヴィッド・スケアス
音楽アベエル・コジェニオウスキ(指揮)、梅林茂(作曲)
撮影エドゥアルド・グラウ
製作クリス・ワイツ、アンドリュー・ミアノ、ロバート・サレルノ

キャスト

大学教授ジョージ  コリン・ファース
友人チャーリー  ジュリアン・ムーア
亡くなった恋人ジム  マシュー・グッド
隣人ストランク夫人  ジニファー・グッドウィン
学生ケニー・ポッター  ニコラス・ホルト
俳優志望カルロス  ジョン・コルタジャレナ
グラント  リー・ペイス

 

ネタばれ

部屋でポッターは、ジョージと一緒にビールを飲む。
ポッターはジョージのことが心配だったが、自殺の恐れはないと判断してソファで眠る。
ジョージは、若く魅力的なポッターにまだ人生も捨てたものではないと思い、自殺する気を無くした。しかし夜中に持病の心臓発作が起きて死ぬ。

 

 

 

 

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