17世紀中頃にローマ・カトリックと国王チャールズ一世に対して清教徒革命を起こし、英国史上初の共和政を実現したオリバー・クロムウェルの半生を描いた歴史映画

製作はアーヴィング・アレン、監督、脚本はケン・ヒューズ
撮影は「2001年宇宙の旅」のジェフリー・アンスワース

主演はリチャード・ハリス
共演はアレック・ギネス、ロバート・モーレイ、ドロシー・テューティン、ティモシー・ダルトン

あらすじ

英国市民戦争(清教徒革命)は、庶民院(新興中産階級)と旧来の貴族との闘いである。庶民院をプロテスタントへの強い信仰心とリーダーシップで引っ張ったのが、オリバー・クロムウェルだった。これに対して、スチュアート朝の国王チャールズ一世はアイルランドやスコットランドへの出兵を繰り返し、庶民の血税をドブに捨てる。
当時は、産業と貿易が、国家の主要な財源となり、農業経済が崩壊していた。貴族政治に対して、商人や銀行家など富裕層が政治に介入し始める。彼らは、絶対王政から議会政治への移行をチャールズ1世に要求した。また、チャールズ1世はカトリックと結び、庶民院のピューリタン派と対立した。アイルランドやスコットランドとの戦争は、年中行事に過ぎなかった。

1641年、チャールズ1世は、財政難を解決するため、数年ぶりに議会を招集した。プロテスタント中心の庶民院は、王と対立を深めた。清教徒は、温厚なクロムウェルを説得し、王との開戦を決意させる。王妃ヘンリエッタ・マリアに説得されたチャールズ1世も挙兵する・・・。

雑感

清教徒革命の結果、イングランドに共和政が敷かれた。とはいえ理想と現実は違う。ピューリタンの治める国となったイングランド王国だが、アイルランドの抵抗は激しく、議会も新模範軍がいなくなると好き勝手を始める。クロムウェルはロンドンへとってかえし、反対派を押さえ込み護国卿に五年間就任。軍事独裁の執政を行なった。
そしてクロムウェルが死ぬと、議会はチャールズの皇太子だったチャールズ2世を呼び戻し、王政復古を行なった。クロムウェルの死体は、斬首されて「さらし首」にされたそうである。
チャールズ2世は、部下の失政もあり、議会のホイッグ党(自由党)とトーリー党(保守党)に振り回され、カトリック寄りの政策を実現するのに苦労した。途中から弟のジェームズ皇太子にスコットランド政治を任せ、1685年に亡くなる。その後1688年にジェームズ皇太子改めジェームズ2世は、議会と軍によりフランスに追放される。(名誉革命

リチャード・ハリスは、遅れてきたマーロン・ブランドのような雰囲気。貴族が幅を利かせる世界で政治家兼軍司令官としてできる限りのことをやったと思う。クロムウェルが身分の全く違うチャールズ1世を処刑することは仕方がないことだし、彼でなければできなかったことだ。
アレックス・ギネスも頑固なチャールズ1世を熱演した。映画の中の事件だけでは、死刑するのはやりすぎと思う人もいようが、チャールズ1世は往生際が悪くて、何回も反乱を起こしたから、クロムウェルは堪忍袋の尾が切れて処刑されたのだ。

スタッフ

製作  アーヴィング・アレン
監督、脚本  ケン・ヒューズ
撮影  ジェフリー・アンスワース
衣装デザイン  ニーノ・ノヴァレーゼ
美術  ハーバート・ウェストブルック
音楽  フランク・コーデル

キャスト

オリヴァー・クロムウェル  リチャード・ハリス
チャールズ1世  アレック・ギネス
マンチェスター伯  ロバート・モーレイ
ヘンリエッタ・マリア王妃  ドロシー・テューティン
ジョン・カーター  フランク・フィンレイ
ルパート王甥  ティモシー・ダルトン
ストラトフォード伯  パトリック・ワイマーク
ヒュー・ピーターズ  パトリック・マギー
エドワード・ハイド卿  ナイジェル・ストック
エセックス伯  チャールズ・グレイ

 

***

庶民院側は、農民、労働者、婦人の応召を受けて軍勢だけは揃えたが、彼らは全くの素人であったため、初めはチャールズ1世が優勢だった。クロムウェルは、王と馴れ合いで戦うマンチェスター伯とエセックス卿を指揮官から排除して、ピューリタン中心の軍に鍛え上げる。これが「新模範軍(ニューモデル・アーミー)」である。1645年、ネーズビーにおいてクロムウェルの新模範軍は王党軍を撃滅し、国王はオックスフォードに逃げた。

国王敗走の知らせを受け、議会では国王と講和するために、マンチェスター伯とエセックス卿がクロムウェルを斥けることを提案していた。しかしロンドンに戻ったクロムウェルは、軍勢を議会に入れて、議会を牛耳った。
クロムウェルは、チャールズ1世を裁判にかけて、死刑に処する署名を、議員たちに強要した。1649年の1月、チャールズ一世はロンドン民衆の面前で首を落とされた。
しかし、王のいない国は対外的に国内的にも敵を作り過ぎた。クロムウェルは、これからの難題を前に途方に暮れる。
彼は国王にならず、護国卿として軍事独裁政権を作って、死ぬまで国を治め、死後はチャールズ2世が戻ってきた。

クロムウェル Cromwell (1970) 英アーヴィング=アレン・プロ製作 コロンビア配給 英国唯一の共和政を描く歴史映画

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