映画「ジュラシック・パーク」の原作を書いたマイケル・クライトン。初めて映画化されたのは原作「アンドロイド病原体」だった。日本では「アンドロメダ…」と邦題を改めて公開された。
製作と監督は「ウェストサイド・ストーリー」のロバート・ワイズが担当する。マイケル・クライトンは見込まれたものだ。脚本はネルソン・ギディングで、特撮はダグラス・トランブルとジェームズ・ショート。音楽はジル・メレ。

 

 

 

 

主演は舞台俳優でトニー賞を獲得しているアーサー・ヒルだ。マイケル・クライトン先生は戸惑っただろう。自分の初映画化を中年の渋い舞台俳優が演じて果たして売れるのだろうか。
相方のダットン博士役はベテランのデイヴィッド・ウェイン、紅一点はてんかん持ちのおばさん役をケイト・レイビットが演ずる。最年少の医師役を演ずるジェームズ・オルソンも当時で40歳近かったのではないか。実に華のない配役だ。

 

Synopsis:

アメリカが飛ばしたスクープ衛星がある村に落ちた。村からの連絡は一切途絶えてしまったので偵察隊が中に入る。入った途端、苦しみ出して、通信が途切れる。現地の空中撮影を見て異常が起こっているのを察知した軍は村を封鎖し、ワイルドファイヤ警報を発令し、3人の科学者とオッドマン仮説によって1人の外科医を招集する。

リーダーのストーンは外科医のホール気密服を着て現地へ降り立つ。村民は殆どが何らかの病死あるいは自殺をしていた。しかし酔っ払った老人赤ん坊だけが生き残っていた。ダットンレヴィットを加えた四人のチームは、衛星と生き残りを収容した研究所で何重もの検疫を受けて、地下の隔離施設に入り、早速調査を開始する。

まず死因を特定するが、窒息死と考えられる。空気感染したものと推定される。ホールは生き残りの血液検査からpHの全く違う二人が生き残ったことを不思議に思う。ストーンとレヴィットは衛星の分析を行い、緑の物質が付着していることを発見する。どうやらこれが宇宙の物質らしい。電子顕微鏡によると無機質なのに増殖を続ける。電子顕微鏡によると結晶体のようだ。レヴィットは続いて培養検査にはいるが、疲労から寝過ごしてしまう。気が付くとあらゆる条件で物質は増殖を始めていた。しかもエネルギーを与えると増殖しながら何も排出しない。小型の原子炉のようなものだ。

そのとき赤いランプが鳴り出す。宇宙物質アンドロメダが機密室を突き破り、漏れ出しているのだ。こうなったら核による自爆しかない。そのときホールがアンドロメダの生存条件が非常に狭いpH範囲内に限られることを発見する。果たして科学者たちの運命は?

 

 

Impression:

この映画から一見してわかることは、事件が実験室の中だけで解決されてしまい、地味であること。
ロバート・ワイズ監督は科学考証をしてリアルに描こうとしたのだが、映画を売ることと考えていなかったのではないか。計算機は如何にも古くさい。
だいたい四人の天才科学者たちがおじさんとおばさんだ。一人だけ独身貴族の現役外科医がいて、一応これが最年少みたいなんだけれど、髪の毛は既に薄くなりかけている。
どうして主人公がチャールトン・ヘストンやグレゴリー・ペックではないのか。
おそらく、スターは誰も出たいと言わなかったのだろう。
さらに科学と人間の力だけでクリアするところを明らかにしたかったのだろう。
スターを使うとフィクション性が強くなってしまう。

無機物がエネルギーを吸ってカオス的に成長していくなんて、マイケル・クライトンは50年代のB級SF映画の見過ぎだろう。他所からもらったネタが多く使われている。

 

 

なお当時のマイケルは反体制寄りで、米国の宇宙政策に反対の立場だった。
後に右傾化する。理由は現実の変化のスピードについていけなくなったからだと思っている。

 

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Staff / Cast:

監督 ロバート・ワイズ
脚本 ネルソン・ギディング
原作 マイケル・クライトン『アンドロメダ病原体』
製作 ロバート・ワイズ音楽 ギル・メレ
撮影 リチャード・H・クライン
編集 スチュアート・ギルモア、ジョン・W・ホームズ

 

 

出演者
アーサー・ヒル (ストーン博士)
デイヴィッド・ウェイン (ダットン博士)
ジェームズ・オルソン(外科医ホール)
ケイト・レイド (レヴィット博士)
アンドロメダ・・・ (The Andromeda Strain) 1971 ユニバーサル配給(アメリカ)マイケル・クライトン原作初のSF巨編

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