尾崎一雄の私小説を巨匠清水宏が映画化。
脚本は吉村公三郎と清水宏。
19歳の島崎雪子は33歳の新進作家の佐野周二と若くして一緒になる。
二人は貧乏の極みだったが、彼女はどんなときも明るさを忘れなかった。
彼女は妊娠八ヶ月で下宿を追い立てられるが、立退料をふんだくって無事、娘を出産する。
いよいよ病院を追い立てられる段になって、うまい具合に格安の下宿が見つかる。
しかしその二階建ての下宿は、かつて首つりがあった。

他に共演は片桐余四郎(現佐武明夫)、千秋実堀越節子、若山セツ子、森繁久彌、宇野重吉と豪華だ。
その上特別出演 は作家の尾崎一雄、丹羽文雄、檀一雄である。
島崎雪子が、のほほんとした若奥さん役で良い味を出している。
夫が芥川賞を取ったことを知り、指を噛んで泣くシーンが印象的だ。
また、のど自慢で美声まで披露している。
(彼女はシャンソン歌手で紅白歌合戦にも出場している。)
友人増田順二の妻役で若山セツ子も出てるが、この映画では島崎雪子とイメージが重なった。
主役は若山セツ子でもできただろうが、島崎雪子の方が華があった。
自分の趣味だが、テレビでは端役ばかりの堀越節子が大きな役をやっていて嬉しかった。
眼鏡を掛けた中年の女流作家の役だ。
メガネっ子大好きの私にはたまらない(笑)
ちなみにこのおばさんは森雅之の元の奥さん。
さすが有島武郎ジュニアの森は趣味がよい。
また「帰ってきたウルトラマン」では岸田隊員の母を演じていた。
尾崎一雄が再婚してから昭和12年に芥川賞を取るまでを描いているが、実はそんな生やさしい話ではなかった。
初婚で尾崎はドメスティックバイオレンス亭主だったため、若くて可愛い芳枝と結婚してからもまた同じ事を繰り返してしまうかと悩み苦しんでいたそうだ。
この映画は6年後には再び「愛妻記」として東宝で映画化されている。
主演はフランキー堺、司葉子である。
でも島崎雪子の演技は素晴らしかったから、なぜ東宝がもう一度映画を撮ったのかわからない。
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もぐら横丁 1953 新東宝

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